第3話 使命を知る日 The day you discover my mission

魔ノ森 最深部

「お待たせ!」

ズドッ!!!!

巨大な風の刃で俺の首を新ていた木の弦が断ち切られ、

周囲の根と木々が粉々に粉砕される。

「げぇほっ がっ

ソルティさん」

ソルティが上空に立っていた。

それに背後に複数の星の模型のようなものがぐるぐると回っている。

「リカルド、ロープを

キヨマサを回収するわ。」

「あいよ!」

上空の小型飛行艇からロープが伸びてきた。

がっと掴むとギュルッと凄い勢いでロープが巻かれていき、俺の体は小型飛行艇の下側の足の部分に押し込まれる。

「助かりました!」

「おう!悪かったな。まさか転生者がいるとは。

ソルティ、少し上で飛んどく。

終わったら合図してくれ。」

「えぇ。」

ドッとソルティさんが地面にいるナタリーに向かって飛ぶ。

「火ノ星」

ドドドッとナタリーの作っていた木々の塊を炎の球体が消し炭にしていく。

「す、すごい」

あれが4大古代魔術の1つ、惑星魔術か。

自身の肉体を魔術の術式として使用し、文字通りこの太陽系の星にちなんだ7つの魔術を自在に発動できる。それもほとんど魔素を消費せずに。

火、水、風、土、雷、光、闇という代表的な7属性の魔術を全て扱うことができるのだからもはや敵なしだ。

制約としてはそもそも適性のある人間以外は使えず、1億人に1人の才能と言われている。

「聞こえるか、キヨマサ

よーく戦いを見とけ」

「はい。」

ソルティが木々を焼き尽くして行くのに対抗してナタリーが木々を増やしていく。

だがソルティは同時に地面を突き破って岩の杭をナタリーの胸に突き刺す。

「がっ!」

「転生者相手だと、手加減しなくて助かるわ。」

ドドドッ!!!とさらに岩の杭が無数に枝分かれしてナタリー全身から岩が飛び出す。

「えげつねぇ」

「まだだ。転生者相手に常識は通用しない。」

リカルドの言った通りに

ドゴォオオオオ!!!

激しい地割れと共に巨大な大樹が姿を現す。

「リカルド 魔素の収束している地点を教えて」

無線でソルティさんが通信してきた。

「よっし、感知全開っ!!!」

リカルドが船の計器の感度を最低にして探知範囲を最大にする。

「北 100, 西 50の場所だ。そこから出てる。」

「――後でキヨマサの1日分の労働力をあげる」

さらっと俺の1日分の労働力を掛けられて、ソルティさんがドッと飛ぶ。

「火ノ星、風ノ星、雷ノ星

灰塵と為せ」

ソルティが3つの星を模した球体を操り、

ドォッッォッッォッッ!!!!

激しい爆炎と雷が一か所に収束して炸裂した。

「――ふぅ、リカルド 反応は?」

「ないぜ。流石は星ノ魔女」

わずかな光の筋がロマヌス王国方面に飛び去っていった。


数時間後 魔ノ森 入口

俺とソルティさんは飛行艇に乗ってというより捕まって入口に戻った。

「――想定外だったわ。帝国にまで転生者がいるなんて。」

「こんな西に転生者がいるなんて異常だぜ。」

「リカルド!キヨマサくん!」

「大丈夫?」

フランクとガウディも駆けつけてきた。

「えぇ、キヨマサも無事だから安心して。

何とか討滅した。」

「相変わらず、とんでもない力だな。

だが君の方はそうもいかなかったみたいだね。」

「ソルティさんのおかげで軽傷です。」

俺の全身の切り傷や、打撲が痛む。

「それでエスキート持ちの転生者と戦えそうか?」

「今の俺では戦いになると思えません。

逃げることすら出来なかった・・・」

「ソルティ、あんな奴らとキヨマサを戦わせるのは反対だ。

流石に無茶だ。俺達3人ですら勝てたとは思えない。」

「そうね。

今のキヨマサじゃ無理だけど、必要なの。

あの力を見ても私と一緒に戦ってくれる?」

ソルティさんが寂しそうにほほ笑む。

弱くても強くなればいい。

絶対に強くなってソルティさんの力になる。

きっと出来る、不思議とそんな気がする。

「はい。

そもそも俺も転生者ですし。」

俺はソルティさんの手を取って握る。

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