二人のお人形遊び
舞夢宜人
アンドロイドな私に、キミがくれた快感
#### 第1話:アンドロイドと距離感クラッシャー
その日の朝のショート・ホームルームは、穏やかな空気に満ちていた。担任の先生が軽口を叩き、クラス中がくすくす笑いに包まれる。和やかな雰囲気に満ちた教室の隅で、一人だけ表情を動かさず、ただ静かに窓の外を見つめる美少女がいた。彼女の名前は月宮氷華。滑らかなストレートの黒髪をセミロングに伸ばした、絵に描いたような正統派の美人だった。周囲の笑い声が聞こえているのかいないのか、彼女の端正な顔立ちに笑顔のかけらは一切見られない。その滅多に笑わないクールな様から、クラスメイトたちは彼女を“アンドロイド型ヒロイン”と呼んでいた。
一方、クラスの中心で笑い声を集める美少女がいた。彼女の名前は小日向優衣。少しウェーブがかった明るい栗色のショートヘアが、太陽の光を浴びてきらきらと輝いている。誰に対しても分け隔てなく接し、物理的にも心理的にも壁を知らないその性格から、彼女は“距離感クラッシャー”という異名で呼ばれていた。
放課後、優衣は担任との面談のため職員準備室を訪れた。少し早い時間に到着し、前の生徒が終わるのを待つ。先に部屋にいたのは、意外にも氷華だった。彼女は一冊の本を読んでおり、優衣が入ってきた気配を感じて静かに顔を上げた。
「あれ、月宮さん」
「……あなたは、小日向さん?」
氷華は少し眉をひそめた。優衣が自分とは正反対の性格であることは知っていた。だからこそ、以前から彼女と話してみたいと密かに思っていた。思いがけない偶然に、優衣は喜びを隠せない。
「うん、そうだよ。私、月宮さんとお話ししてみたかったんだ。よろしくね」
「ええ、よろしく。さすがに距離感クラッシャーという異名はダテじゃないのね」
少し前のめりに話しかける優衣に、氷華の言葉は冷ややかだった。しかし、これが氷華にとっての「通常運転」であることを優衣は知っている。
「え、月宮さん、まさかの毒舌キャラだった!」
「あら、ごめんなさい。そういうつもりはなかったの。どうも社交的な感覚が壊滅しているみたいで」
「えっと、さすがに、どう突っ込んだらいいかわからないよ」
「大丈夫よ。私も自分がアンドロイドって呼ばれているのは知っているから。正確には、アンドロイド型ヒロイン、だけど」
短いやり取りの中に、優衣は氷華の面白さを感じ取った。これは、もっと話してみたい。そう思い、会話を続ける。
「ところで、何の本を読んでいるの?やっぱり難しい本?」
「いいえ、ただのライトノベルよ。女子高生同士の話で、一人の子が相手の体の支配権を交換するという話」
「へぇ、それ、面白いの?」
「まだ読み始めたばかりだから、なんとも言えないわね」
氷華は面倒くさがることなく、普通に会話に応じる。その態度に、優衣はさらに興味を引かれた。
「支配権を交換するって、どういうことなの?」
「相手に自分の体の支配権を交換したら、その間は、何をされても抵抗できないみたいね。命令権とは少し違うらしいけど」
「何かをさせられることはなくて、何かをされることはある、そういうことなんだね」
「要約すると、それで合っている……のかしら?」
優衣の言葉に、氷華は少し考える素振りを見せた。そんな氷華の気を引きたくて、優衣は冗談めかして話を続ける。
「それなら、私だったら、いくらで支配権を交換できるんだろう?」
「小日向さんの興味は値段にいくのね。普通はそこじゃないと思うのだけど」
「だって、自分の体を自由にする価値って、興味あるじゃない」
「小日向さんなら高く交換できそうよね、おじさん連中に」
「私、何か月宮さんに悪いことしたかな?」
「気を悪くしたらごめんなさい。思ったことを口にしただけで悪気はないのよ。私には、感情が実装されていないから」
「微妙に突っ込みにくいんだけど……」
話は少し脱線しながらも、優衣が望む方向に進んでいく。そして、ある意味期待通りに、氷華が食いついてきた。
「バイトの時給が千二百円くらいだから……同じ同級生、しかも女の子同士なら……支配権は、二時間で五千円くらいかしら」
「その話題、まだ続いていたんだね。じゃあ、その二時間五千円、私が小日向さんの支配権を交換するわ」
「え、本当に?」
「ええ、本当に」
氷華との距離を縮めるきっかけができる。そう思う一方で、優衣には当然の迷いがあった。
「本当に交換したら、どうなるの?」
「支配権を私に交換したら、その時間は、私が小日向さんの体を自由にできるの」
「何をされても自分からは動いてはダメ、ということ?」
「そう。私の生きたお人形さんになってもらう、そう思えばいいかもしれないわね」
氷華の言葉に、優衣は少し考えた。“月宮さんの生きたお人形……何をされちゃうんだろう?”。その想像は少し怖いけれど、それ以上に好奇心が刺激された。優衣は覚悟を決め、この「遊び」を進めることにした。
「ふーん、私の体を使って、お人形遊びかぁ」
「変態だと思った?」
「ううん、そんなことないよ。ただ、よくそんなことを思いついたなって、思っただけ」
「思いついたのは私ではなく、ライトノベルだから。それに、小日向さんが交換してもいいと言ったから、私も交換しようと思ったのよ」
優衣が本気だと察した氷華は、もう一度念を押す。
「本当に交換するの?何をされるかわからないわよ」
「もちろん、いくつか条件はつけさせてね。その時間にあったことは、一切それ以外の時間に影響しないようにしてほしい。二人だけの秘密で、録画や録音は禁止、怪我をさせたり、跡が残ることもダメ。性的なことも含め、お互いの同意の範囲内で、ということかな」
優衣の言葉に、氷華は驚き、真剣な表情になった。“もしかして、本当に優衣は支配権を交換するつもりなのかしら?”。もしそうなら、何をしようか。氷華は、優衣の体を自由にできたら、何をしてみようかと想像し始めていた。
「場所は、私の家でいいかしら?」
「うん。私が訪ねて行って、支配権を交換する。お金を受け取った時から、二時間だけね」
「料金は、本当に二時間で五千円でいいの?」
「それでいいよ。それと、交換できるのは、土曜日の午後になるけど、それは大丈夫?」
「土曜日の午後なら、家族もいないから、ちょうどいいわね。そうさせてもらうわ」
こうして、二人の「遊び」は、それぞれの思惑を胸に秘めて、週末に実施されることになった。
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#### 第2話:優越感と好奇心
職員室での面談を終え、二人で一緒に帰路につく。放課後の校舎は、夕暮れの柔らかな光に包まれていて、二人の間には心地よい静けさが流れていた。でも、心の中は、これから始まる「遊び」への期待と不安でいっぱいだった。
「ねえ、月宮さん」
優衣がふと、口を開いた。
「なあに?」
氷華は、視線を優衣の方へ向けた。
「支配権を交換するって、どんな感じなのかなって……ちょっとドキドキする」
優衣の言葉は、まるで子どものように無邪気だった。その純粋さに、氷華は少し戸惑いながらも、内心では安堵していた。
「そうね……。私も、どんな感じになるのか、まだ想像がつかないわ。でも、小日向さんを私の思い通りにできるって考えたら、少しだけ、優越感があるわね」
「うわ、やっぱり変態だ!」
優衣はからかうように笑い、氷華もそれに少しだけ口元を緩めた。そんな氷華の様子を見て、優衣は嬉しそうに続ける。
「でも、月宮さんって、そういう意外な一面があるんだね。いつもクールで、話しかけにくいかなって思ってたから、ちょっと嬉しい」
「そう……嬉しい、のね。私は、小日向さんのそういう素直なところ、嫌いじゃないわ」
氷華は、優衣の言葉が素直に心に響いていることに、自分でも驚いていた。
「月宮さん、私のこと、嫌いじゃないって言ってくれた。やったぁ!」
「そんなに喜ぶことでもないと思うけど……」
「ううん、嬉しい。だって、月宮さん、私のこと、嫌いじゃなくて、好きってことでしょう?」
優衣のストレートな言葉に、氷華は少しだけ顔を赤くした。
「そ、そこまで言ってないわよ。ただ、嫌いじゃないって言っただけで……」
「ふふ、でも、ちょっと顔が赤くなってるよ」
「うるさいわね。……とにかく、週末、楽しみにしているから」
氷華はそう言って、優衣から視線を逸らした。そんな氷華の様子を可愛く思い、優衣は内心で喜びを感じていた。
「うん、私も楽しみにしてる。どんなことをされるのか、ドキドキしちゃうな」
二人の間には、これから始まる「遊び」への期待と、少しだけ温かい友情のような感情が芽生え始めていた。
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#### 第3話:初めての『お人形遊び』
週末、優衣は氷華の家を訪れていた。どんな服装にしようか迷った末、結局いつもの制服で来ることにした。当然、家で迎える氷華は部屋着だった。自室に優衣を招き入れた氷華は、ベッドに二人並んで座りながら、少し不思議そうな顔で話しかけた。
「本当に来るとは思わなかったわ」
「約束したからには来るよ。もしかして迷惑だった?」
「そんなことはないわ。私から提案したことだから。ただ、本当に支配権を交換するなんて、遊びだと思っていたから」
「うーん、確かにちょっとは悩んだよ。でも、まあ、月宮さんなら、いいかなって」
他愛のない話が少し続いた後、氷華は机の引き出しから封筒を取り出した。
「じゃあ、これ、小日向さんの支配権を交換する代金。五千円、入っているから、確かめてみて」
「うん、確かに……。これを受け取ったら、二時間の間は、私の体は月宮さんのものになるんだね」
「ええ。やっぱりやめておく?」
「ううん、このまま続けよう」
優衣が受け取った五千円を仕舞ったのを確認して、氷華は再び机の引き出しから手錠を取り出した。
「これ、今回の話があってから通販で買ってみたの。私が小日向さんの体を支配していることの目印にしようと思って。これ、はめるね」
「うん……本格的なんだね」
「ええ、五千円分の優越感、というところかしら。今、二時だから四時までね。小日向さんの体は私の物になるけど、構わない?」
「いいよ。でも、約束は守ってね。絶対にこの時間のことは秘密だし、後に影響が残ることはしないって」
「もちろん、それは大丈夫。約束するわ」
「あ、そうだ。喋るのはいいのかな?」
「ええ、それはいいわよ。ずっと黙っていられても、つまらないし。お喋りはしましょう」
氷華は、そっと優衣の背後に回り込み、後ろに回した優衣の手首に手錠をはめた。ガチャリ、と重たい音が響く。優衣はしばらく手錠をガチャガチャと鳴らしてみたが、まったく外れそうにないことを確認して、明るく宣言した。
「オッケー。はい、もう逃げられないよ。それでは、二時間だね。私の体を自由にする権利、今から譲渡します」
優衣の体の支配権を手に入れた氷華は、次に何をしようかと思案した。
「うーん、とりあえず支配権と聞いて手錠をしてみたんだけど、これだけだと、イマイチかしら。ちょっと待っていてね」
そう言って部屋を出た氷華は、荷造り用のビニール紐を持って戻ってきた。
「もっと動けないように雁字搦めに縛ってみましょうか」
氷華は、ビニール紐で優衣の上半身をグルグルと縛り始めた。
「とりあえず、胸の上下を縛ればいいのかしら?それから、足も縛っておきましょう」
そう言うと、今度は優衣の足を揃えて、足首と膝のあたりをぐるぐると縛り付けた。
「えー、これ、動けないよ?」
「そうね。これで支配権は、完全に私にあると……。ところで、これって、そういうことなのかしら?」
「うーん、どうなんだろう?」
優衣は、手錠をはめられ、ビニール紐で縛られた自分の体を見つめた。氷華は、手足をビニール紐で縛られて動けない優衣をじっと見つめる。
「でも、これで小日向さんは何の抵抗もできないし、私は小日向さんに好きなことをできるのよね」
氷華は、縛られて隣に座る優衣を、そっと抱きしめた。優衣にとって、スキンシップは珍しいことではない。友達と抱き合うこともあった。しかし、こんなふうに縛られて動けない状態で抱きつかれたのは初めてだった。
“月宮さんって、いい匂いがする……。あ、ちょっと……”
氷華は優衣に抱きつくと、そっと首筋に軽くキスをした。なぜそんなことをしているのか、氷華自身にもわからなかった。半ば衝動的に、優衣の髪から香るシャンプーの匂いに惹かれて、抱きつきたくなったのだ。軽い首筋へのキスは、そのまま耳たぶへ、そして、優衣の首筋を貪るように何度もキスを繰り返した。
そして、これも無意識に、氷華は抱き着いた両手で、優衣の体を優しく撫で回した。上半身を後ろ手に縛られているため、脇腹やお腹を軽くくすぐるような触感が優衣を襲う。
「あん……うふっ、あ、もう……」
優衣の吐息のような呟きに、氷華の行動はどんどん大胆になっていく。一方の優衣は、キスされた気持ち良さと体を軽く撫でられるくすぐったさに、いつの間にか抵抗することさえ忘れて、うっとりとした気分になっていた。
“だって、仕方ないじゃない……体の支配権を交換しちゃったんだから……それにしても、これ、気持ちいい……”
自分に言い訳をしながら、氷華の行為を受け入れる優衣。そして、あっという間に二時間が経過した。
二時間が経過し、我に返った氷華は少し反省していた。“さすがに、今日はやりすぎたかも……”。優衣の反応を確かめるように話しかけてみたが、優衣はあまり気にしていないようだった。
「これって、ちょっと百合っぽいかしら?」
「どうなんだろう。でも、なんだか変な気持ち。ちょっとゾクッとしちゃった!」
「そうね。今日は初めてで加減が分からなかったけど、もっと小日向さんのことを支配してみたくなったわ」
「まだ来週以降も続けるってこと?」
「小日向さんが嫌じゃなければ……、ということにするけれど」
「じゃあ、また来週」そう言い残して帰っていった優衣。氷華は思った。“また来週も優衣の体を好きにできるのかしら?”。それならば……。“今日は十分な準備ができていなかったけど、来週は特別な何かをしよう”。そう思う氷華は、その特別な何かを考え始めていた。
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#### 第4話:秘密の共有
最初の「遊び」の後の月曜日。学校で顔を合わせた二人は、いつものように挨拶を交わした。しかし、そこには先週までとは違う、特別な空気が流れていた。まるで、二人だけが知る秘密を共有しているかのように。
「月宮さん、おはよう」
氷華は、優衣の明るい挨拶に少しだけ微笑んで返す。
「おはよう、小日向さん。昨日は、大丈夫だった?」
「うん!全然大丈夫だったよ!って、さすがにちょっと疲れたけど……」
昼休みになり、優衣は氷華を誘って、二人でパンを買いに行った。人気の少ない屋上へと向かい、ベンチに腰を下ろす。
「ねぇ、やっぱり、あの時間のこと、なんだか変な感じだよね?」
優衣がそう口にすると、氷華は少し困ったように頷いた。
「変な感じ……そうね。でも、小日向さんの『気持ちいい』って声が、頭から離れないの」
「え、私、そんなこと言ってたっけ?」
優衣は自分の言葉に顔を赤くしたが、氷華は淡々とした口調で続ける。
「ええ。とても可愛らしい声だったわ。……だから、もっと聞いてみたくなったの」
「うう、月宮さん、本当に変態さんだ……でも、なんだか、嬉しいかも」
優衣は、氷華の言葉に少し照れながらも、嬉しそうな顔をする。
「私、あの時、月宮さんに抱きしめられて、いい匂いがして、なんだか安心しちゃったんだ。ちょっとゾクッとしたけど、それ以上に、ドキドキしたというか……」
優衣は、自分の正直な気持ちを、氷華にすべて話した。氷華は、優衣の言葉を静かに聞いていた。
「そう……。私も、小日向さんのことをもっと知りたいと思ったわ。体だけじゃなくて、心もね」
「うん!私も、月宮さんのこと、もっと知りたいな。それで、来週も、また続きを……?」
優衣の言葉に、氷華は微笑んだ。
「もちろん。今度は、もっとちゃんと準備しておくわ」
二人の間には、単なる「遊び」ではない、特別な絆が芽生え始めていた。
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#### 第5話:本格的な緊縛と快感
結局、その翌週の週末も、優衣は氷華の家を訪れていた。今日の優衣は、ピンク色の半袖Tシャツにデニムのショートパンツという柔らかい雰囲気の服装だ。先週よりもだいぶ打ち解けた様子で、二人は氷華の部屋で並んでベッドに座っていた。優衣は前の週と同じように、氷華から五千円が入った封筒を受け取った。
「また、私の支配権を交換したいなんて言い出すと思っていなかったよ」
「そうね。小日向さんの支配権が五千円なんて、とてもお買い得だと思うけど。世の中のおじさんたちは、喉から手が出るくらい欲しがるんじゃないかしら?」
「いや、そのおじさんたちはいいから!そういう人には絶対に交換しないからね!」
そう言いながら、氷華は優衣の両手を背中側に回し、高い位置で交差させて手首を縛り始めた。
「ところで、今日は手錠じゃないのね?」
「ええ。あの後、いろいろと調べたの。本格的に縛る方法をね。今日は、その成果を試してみようと思って、全部ロープで縛ってみることにしたわ」
「それで、そのロープなの?ずいぶんたくさんあるように見えるだけど?」
優衣が言うように、机の上にはまだ大量のロープの束が置かれていた。氷華はその束を一つずつ、ベッドの上に並べていく。
「何をしてもいいのよね?だって、小日向さんは今、私のお人形さんだから。だから、調べた成果を試してみるわね」
「どちらにしても、今の私は動けないしね」
「今日の目的は逆エビ縛りよ。完全な逆エビ縛りには、これくらいのロープを使うらしいのよね」
「えーっ!逆エビ縛りなの?」
優衣は、氷華に上半身を厳重に縛り上げられてしまった。背中で組まされた両手、胸の上下をきっちりと縛る胸のロープには、割り縄が入れられている。そして、ベッドにうつ伏せにされ、揃えた両足が縛られる。足首、膝の上下、それから太腿まで、厳重な縛りで優衣の体は一本の棒のようになった。
「そう、逆エビ縛りにね。それに、目隠し、猿轡、耳栓の完全セットにして。今日は、小日向さんの体の支配権、すべて奪ってしまうわね」
優衣の足が背中側に引っ張られ、足首を縛るロープの続きが背中側の高い位置にある手首を縛るロープに繋げられた。
「う、これ、背中が痛いんだけど……」
「そうね。でも、もう少しはいけるかしら?」
優衣の胸の下と膝の下にクッションが入れられて、さらに体が反らされる。その状態から戻らないようにロープがピンと張られた。クッションが抜き取られると、思い切り背中側に仰け反った体は、お腹のあたりがベッドに触れているだけだった。
「これで、ヤジロベエみたいに揺れたりするのかしら?」
「うわ、ちょっと、これ、体が痛いんだから!」
予想外の厳しい緊縛に焦る優衣。まったく体が動かせない。何より、腰や背中が少し痛かった。その不自由さと痛みを感じながら、優衣は不思議な感覚に戸惑っていた。
“どうしてだろう……これ、ちょっと、いいかも……”
少しの抗議の後、なぜか静かになった優衣に、氷華が次の言葉をかけた。
「じゃあ、口を開けてもらえるかしら?」
「ちょっと、何をするつもりなの?」
「最初に言ったわよね。猿轡よ。その後で、目隠しと耳栓もさせてもらうわね」
その言葉に、優衣は思った。“これに……目隠しや猿轡までされちゃったら……私、どうなっちゃうんだろう?”。
優衣の口の中にハンカチが詰め込まれ、それを吐き出せないように細長い布で口を塞ぎ、後頭部で結ばれた。
「ううっ!」
さらに、後頭部の猿轡を縛った結び目に細い紐が巻き付けられ、その先端が逆エビ縛りにされた優衣の足の指に巻き付けられた。裸足にされた優衣の足、並べた親指が一纏めにされ、細い紐が結ばれていく。優衣は、頭を大きく後ろに反らせ、両足はつま先を揃えてピンと張った状態で、全く動かせるところがない完全な逆エビ縛りにされてしまった。
文句を言いたいと思う優衣だったが、すでに声を出すことはできない。
「うーん、これが逆エビ縛りなのね。キレイな女の子がこんなふうに厳しく縛られているのは、やっぱりそそるわね」
そう言いながら、氷華は優衣の両目を手ぬぐいで塞いだ。
「大丈夫よ。ちゃんと二時間で解くから、ずるはしないから安心してね」
さらに、優衣に耳栓を詰め込んだ氷華は、一通りの緊縛を終えて満足そうに見下ろしていた。
「ふぐ?ふぐーっ!ふふふふう、ふうー、ぬぐー、ぬ・ぬ・ぬ・ふがぁー」
優衣の口から音が漏れる。本来、大きな笑い声だったはずのそれは、口に詰められた大量の布のせいで、かすかに悶えるような音にしかならなかった。
でも、くすぐったい。
“え、くすぐったい?きゃっ、やめて、くすぐったいよー”
“厳しく縛られて、視界も塞がれた……そして、くすぐられている!”
氷華は、親指を細い糸で引っ張られた優衣の足の裏をくすぐっていた。
「小日向さん、やっぱり足の裏ってくすぐったいのかしら?うーん、これだと分からないわね。脇腹をくすぐってみましょう」
「ふぐーっ、ふぐふぐ……ううーん、ぬぐぐぐぐ、ふがぁー、ぐわぁー、がががが、ふぎーっ……」
初めての経験に激しく笑わされながら耐える優衣だったが、その笑い声は猿轡に阻まれて外に漏れることはなかった。だが優衣は思う。“絶対に、月宮さんは分かってやっているはず……”。そして、緊縛されてのくすぐりは、やはり辛い。
そして、いつの間にか約束の二時間が終わった。ロープを解かれた優衣は、少しぐったりしながらも、なぜか満足そうだった。その優衣の反応に、氷華は少し困惑していた。
“さすがに、今日は怒るかもしれないって……そうしたら、ちゃんと謝ろうって思っていたんだけど……”
そんな氷華の内心とは無関係に、緊縛を解かれた優衣は無邪気に笑っていた。
「いやぁー、今日は予想外だったよ。月宮さん、すごいね」
「ええ。でも、自分でやっておいてこんなことを聞くのも変だけど、小日向さん、大丈夫だった?」
「え、大丈夫だよ」
「じゃあ、また来週」そう言い残して帰っていった優衣。氷華は思った。“優衣には、何をしても大丈夫なのかしら?”。それならば……。“今日は十分な準備ができていなかったけど、来週は特別な何かをしよう”。そう思う氷華は、その特別な何かを考え始めていた。
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#### 第6話:新しい遊びへの決意
2回目の「遊び」の後の火曜日。氷華は放課後の図書館で、次回の「遊び」に使う道具について調べていた。ふと顔を上げると、窓の外で優衣が友達と楽しそうに話しているのが見えた。
「ねえ、小日向さん」
氷華は、優衣が一人になった隙を狙って声をかけた。
「あ、月宮さん。どうしたの?」
「いえ、なんでもないわ。ただ、この前は、大丈夫だったのかと思って……」
氷華は、先週末の逆エビ縛りのことを言っているのだと察した。
「うん、大丈夫だったよ!最初はびっくりしたけど、月宮さんがすごく集中して、楽しそうにしてたから、私もなんか嬉しくなっちゃって。なんだろう、私も、月宮さんの特別な存在になれたのかなって」
優衣のまっすぐな言葉に、氷華は胸の奥が熱くなるのを感じた。
「特別な存在……そうね。私は、小日向さんの特別な一面を知っているわ。そして、小日向さんも、私の……変態な一面を知っているのよね」
氷華の言葉に、優衣は笑いながらも、真剣な表情で言った。
「変態でもなんでも、月宮さんは月宮さんだよ。それに、私、月宮さんのこと、もっと知りたいって思うようになったんだ。この間の逆エビ縛り、本当にすごかったもん。次はどんなことしてくれるのかなって、ちょっと楽しみなんだ」
優衣の言葉は、氷華の心を大きく動かした。彼女は、ただの「遊び」ではない、優衣との深い繋がりを求めていることに気づいた。
「そう……。私も、小日向さんのことをもっと楽しませてあげたい。今度は、もっと、小日向さんの心を揺さぶるようなことを考えているわ」
氷華は、優衣の笑顔を見て、次の「遊び」への想像を膨らませていた。
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#### 第7話:逆さ吊りの衝撃と新たな発見
結局、その翌週も優衣は氷華の部屋を訪ねていた。今日の優衣は、ミニスカート丈の薄いデニム地のシャツワンピースを着ている。また、氷華の部屋で並んでベッドに腰かける二人。優衣が氷華から五千円を受け取ると、二人の「遊び」が始まった。
ガチャリ。
後ろ手に手錠をはめられる優衣。
「前回はロープで縛られたけど、今回は手錠に戻ったのね」
「そう。とりあえずロープの緊縛は、あれ以上のことが思いつかなくて。今回は、別のことにしてみたわ」
「よかった。あれは、かなりきつかったから」
「それに、あれだけしっかり縛ってしまうと、私が何かする楽しみが減ってしまうことに気づいたのよ」
そう言いながら、氷華は優衣の足首にタオルを巻き、その上からロープでしっかりと縛り始めた。
「足首は縛るんだ……しかも、こんなに厳重に?」
「そうね。それから、これを使おうと思っているの。屋内用の布団干し竿ね」
この部屋に入ってから、優衣がずっと気になっていたのは、部屋の隅に立てかけられた金属の棒だった。
「さっきから気になっていたんだけど、布団干し竿だったんだ?あれ、ちょっと!」
急に体を持ち上げられて焦る優衣。氷華が優衣の体を持ち上げて、その膝裏を布団干し竿に引っ掛けた。
「これでも、私、力はあるのよ。さすがに女の子を持ち上げるのは大変だけど。小日向さん、軽いのね。そう、そのまま膝を物干し竿にかけて、そう、そのまま上半身を下ろすわよ」
「え、ちょっと、これ、頭から落ちたら危ないよ」
「落ちないように、ちゃんと膝を曲げて、布団干し竿に引っ掛けておいてね」
「ちょっと、これキツいよ、それに、頭から落ちたら危ないって!」
「落下については大丈夫よ。落ちないようにしっかりと縛ってあげるから」
氷華は、物干し竿に引っ掛けるように折り曲げられた優衣の足首と太もものあたりを一纏めにして、ロープでグルグル巻きに縛ってしまった。これで、優衣の足が伸びることはなくなり、物干し竿から逆さに落ちることもなくなった。
布団干し竿に逆さ吊りにされてしまった優衣は、慌てて抗議する。だって、この体勢では……。
「ねぇ、この体勢だと、スカートがめくれて、下着が見えちゃうんだけど!」
「うーん、そうね。じゃあ、こうしましょうか?」
氷華は、優衣のシャツワンピースのボタンを下側から外し始めた。途中、ウエスト部分のベルトも外して、最終的にすべてのボタンを外してしまう。
「やっぱり、美少女の下着姿って、良いわね」
「ちょっと、何しているのよ!」
何気ないように振る舞いながら、氷華は内心で興奮していた。“本当に、優衣の服を脱がせちゃった!”。優衣の服を脱がせること。これが先週から考えていた、過激なことの一部だった。
「これ、中途半端だから、取ってしまいましょう」
氷華は、後ろ手に逆さ吊りになっている優衣の手錠を外し、シャツワンピースを脱がせてから、もう一度その手首に手錠をはめた。
“やっぱり、優衣って、スタイルがよくて、下着姿も可愛い……”
逆さ吊りで下着姿にされた優衣は、上下が反転した視界で氷華を見上げる。
「うー、どさくさに紛れて服を脱がされちゃったよ!」
「下着まで脱がせてもいいかしら?」
「えー、私を裸にするつもりなの!それは、まあ、私に拒否権はないけど……。うーっ、とにかく、二人だけの秘密っていう約束は守ってね!」
「もちろん、それは大丈夫よ。では、遠慮なく」
「あ、ちょっと、逆さ吊りのままなの!ねぇ、パンツを上に引き抜くのやめてよ。ちょっと、裸にするなら下ろしてよぉ~っ!」
「うふ、ごめんなさい。ちょっとした冗談よ。さすがに、裸にしたりなんてしないから安心して」
「あー、もう、びっくりしたよ……」
「だから、まだしばらくは逆さ吊りね」
「えーっ!」
優衣は戸惑っていた。逆さ吊りにされて恥ずかしいし、下着姿にされて、もっと恥ずかしい。
「あんまり、そうやってジロジロ見られるのは……。今、下着姿だし……」
「あら、そうね。確かに、恥ずかしいかもしれないわね。そういう時には、目隠しをしてしまいましょう」
「え、どうして、そうなるのよ!」
優衣は、氷華に目隠しをされてしまった。逆さ吊りにされて真っ暗な視界の中、氷華の声が聞こえてくる。
「こうやって、じっくりと眺めてみると、小日向さんって、やっぱりキレイね。スタイルもいいし、下着姿も可愛いわね」
「ねぇ、ちょっと、そんなにジロジロ見ないでよ。私、見えないんだから、ねぇ、私のどこを見ているのよ?」
優衣への『続き』を始めるべく、氷華はこっそりと細筆を手に取った。
“もっと、優衣をくすぐってみたい……これまでは、ちょっと遠慮していたけど、もっとくすぐりたい!”
そして、その願望を実行に移していく。
「きゃっ、え、今、何されたの?」
「こうして見ていると、小日向さんのおへそって、キレイだなって思って、ちょっと、細筆を突っ込んでクニュクニュってしてみたの」
「え、何よそれ、あ、ちょっと、やめて……くすぐったいよ~」
「うふ、小日向さんの反応、面白い。とっても可愛いわよ」
逆さ吊りのまま、おへそを筆で責められて暴れる優衣。両手は後ろ手に手錠をはめられているだけなのに、正面からくすぐってくる筆を払いのけることができない。手を使えないならと、体を捻って暴れる優衣だったが、おへそから筆が離れていくことはなかった。
“だめだ、くすぐったい……”
「きゃーっ!止めて、うわ、くすぐらないでー」
「小日向さんって、ウエストが細くてスタイルがいいわよね。ちょっと、このくびれたウエストにイタズラしてみたくなっちゃったの」
「あ、やめて、くすぐったいってば、あー、あっははははっはっはははははあ、だめ、くすぐらないで……あははっははっははははははは」
逆さ吊りの優衣をくすぐる氷華。吊るされた優衣の体が大きく暴れる。後ろ手に手錠をはめられた両手、体を捻って逃げようとする、その仕草が可愛い。
“これは楽しいけど……でも、逆さ吊りでこれは、やっぱりキツいわよね”
氷華は、キャスター付きのキャビネットを持ってくると、その上にクッションを敷いた。そして、目隠しされて逆さ吊りになっている優衣に話しかける。
「ずっと逆さまなのは大変でしょう。二時間は長いから休ませてあげるね。背中の下にキャビネットを置くから、そのまま横になってね。クッションも敷いてあるから手も痛くないでしょう?」
大笑いして暴れてぐったりした優衣。その上半身を乗せて休めるように、そっと差し込まれたキャビネットには柔らかいクッションが敷かれていた。キャビネットの上に横たわる優衣は、それまで頭に上っていた血が元に戻っていくようで、今更ながらに逆さ吊りが大変だったことに気づく。
後ろ手の手錠には厚手のタオルが巻かれて、背中に当たる手錠のゴツゴツした触感はあっても痛くはなかった。キャビネットの上に横になって一息ついた優衣が尋ねる。
「ねぇ、まだ降ろしてくれないの?」
「もちろん。二時間経ったら降ろしてあげるわよ」
「あ、ちょっと……あん、首筋を舐めないで~」
まだ二時間は経っていないから、優衣は解放してもらえなかった。代わりに、氷華の責めが続く。
「私ね、小日向さんの弱点は、首筋のキスとおへそのコチョコチョだってこと、分かっちゃったの」
「え、そんなぁ~」
「だから、このまま、首筋にキスしながら、おへそもコチョコチョしてあげる」
「あ、うわ……あーん、ダメだぁ~」
目隠しと後ろ手の手錠で拘束されたままの優衣に、氷華の責めが続く。首筋にされるキスが気持ちよく、同時におへそを細筆でくすぐられて笑いに耐える。
“ねぇ、月宮さんは、どうして……こんなこと、上手なの?”
そして、今日も約束の二時間が経過した。氷華の心配をよそに、今日も優衣は充実した表情をしている。
「じゃあ、また来週」そう言い残して帰っていった優衣。氷華は思った。“優衣には、何をしても大丈夫なのかしら?”。それならば……。“今日は十分な準備ができていなかったけど、来週は特別な何かをしよう”。そう思う氷華は、その特別な何かを考え始めていた。
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#### 第8話:揺れ動く感情
3回目の「遊び」の後の水曜日。優衣は、授業中もふと、氷華に逆さ吊りにされてくすぐられた時のことを思い出して、頬が熱くなるのを感じていた。放課後、氷華が一人で下校しようとしているのを見つけ、思わず駆け寄る。
「ねぇ、月宮さん!」
「小日向さん?どうしたの、そんなに慌てて」
「ううん、別に。ただ、なんとなく、月宮さんと話したくて」
二人は、人通りの少ない道を並んで歩き始めた。
「あのね、月宮さん。あれから、月宮さんのことを考えると、胸がドキドキするんだ」
優衣がそう言うと、氷華は少し驚いたように、優衣の顔を見た。
「私も……そうよ。小日向さんのことを考えると、なんだか胸が苦しくなることがあるわ」
「え、月宮さんまで!どうしてだろうね?」
優衣の言葉に、氷華は少し考え込んだ。それは、単なる「遊び」から始まった関係が、もっと深いものに変わってきていることを、二人とも無意識に感じ取っていたからだ。
「きっと、お互いがお互いの、誰も知らない一面を知ってしまったからじゃないかしら」
「そうかもしれないね。月宮さんって、すごく真面目で、クールで、でも、本当はすごく、情熱的なんだね」
「そうかしら。私は、小日向さんが、私の変態的な一面を、無邪気に受け入れてくれるから、嬉しかったのよ。だから、もっと、小日向さんのことを知りたいって思ったの」
「うん、私も。月宮さんのこと、もっともっと、知りたいな」
優衣はそう言って、氷華の手をそっと握った。氷華は、その温かい手に、ドキドキしながらも、心の中で安堵した。
「じゃあ、来週も、また、お人形遊びしてくれる?」
「ええ。次は、もっと小日向さんのことを、深く知ることになると思うわ」
二人の手は、しっかりと握り合わされていた。
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#### 第9話:氷と火花の遊び
結局、その翌週も優衣は氷華の部屋を訪ねていた。今日の優衣は、白い無地のシャツに水色の膝丈スカートというコーディネート。いつものように並んでベッドに座ると、優衣は氷華から五千円が入った封筒を受け取った。今日も二人の「遊び」が始まる。
氷華は、優衣に提案という形で最初の指示を出した。
「前回、下着姿でも大丈夫ということがわかったから、今日は最初から服を脱ぎましょう」
「え、あれは、流れの中で仕方なくだったじゃない?」
「そう。服を脱ぐのが嫌なら仕方ないわね、また逆エビ縛りにしてみましょうか」
「あ、服を脱ぐよ。全然、大丈夫だから」
「わかったわ。裸で逆エビ縛りがいいのね」
「いや、だから、逆エビ縛りはやめようね」
自然な流れで優衣の服を脱がせることに成功した氷華は、内心思う。“きっと、今日のことも優衣なら受け入れてくれる気がする”。
優衣は着ていた服を脱いで下着姿になった。適度に日に焼けた肌に、白いブラジャーとショーツ。実は、ある程度は予想して、可愛らしい下着を身につけてきたのだ。とはいえ、女の子同士でも、やはり下着姿になるのは少し恥ずかしい。
「やっぱり、小日向さんって、スタイルが良くてきれいね。羨ましいわ」
「そんなの……月宮さんだって、とてもスタイルがいいじゃない」
「うふ、ありがとう。では、こちらに来て、この椅子に座ってね」
氷華が指し示す先には、キッチンから運んできたような木製の椅子があった。その椅子に優衣が座ると、氷華は背もたれの後ろで優衣の両手首に手錠をはめた。
「もちろん、足も縛っておくわね」
「何が、もちろん、なのかな?」
氷華は優衣の左右の足首を、それぞれ椅子の脚に縛り付けた。それから、膝上あたりを、椅子の脚が座面と接合する部分に縛り付ける。
「どうかしら?下着姿で両足を開いて縛られるのって、ちょっと恥ずかしくない?」
「ちょっとどころか、すごく恥ずかしいんだけど!」
ここまで想定通りに話が進んでいると氷華は思っていたが、優衣もまたこの「遊び」を楽しんでいるように見えた。
「大丈夫よ。そういう恥ずかしい時にはコレ、目隠しをしてあげるわ」
「それ、全然大丈夫じゃないし!」
実際、優衣は氷華に指示されることを楽しみにしていた。今、下着姿で椅子に拘束され、目隠しをされている。ドキドキしながら、次の展開を待っていた。“今日は、何をされちゃうんだろう?”。すぐ隣で氷華が何かを用意する音がしている。
「あ、冷たい!え、これは何?」
「これは、氷よ。アイストングで掴んで肌に当ててみたの」
「うー、冷たいよ……もう離して……」
「うーん、このくらいかな」
「ねぇ、私に何をしようとしているの?きゃっ、熱い!」
「温めたおしぼりよ。今のは、ちょっと大げささじゃないかしら。それほど熱くはないと思うけど」
「さっきの氷との差が大きくて……見えないから、びっくりするのよ」
「そうなんだ。じゃあ、次はお腹に当てるね」
「きゃーっ!ちょっと、冷たいじゃない」
「それは、氷だからね」
「もう!熱いおしぼりが来ると思うじゃない。今の会話の流れは何だったのよ!」
「小日向さんを油断させるための振りね。やっぱり、本命は氷責めなの」
「きゃっ!だから、冷たいってば!」
それからも、しばらく氷華の氷責めは続いた。氷責めといっても、アイストングで挟んだ角氷を皮膚に押し付けるだけなのだが、何も見えない状態でその責めをされると、思った以上に冷たく感じる。集中的に氷を当てられた部分の皮膚は、少し赤くなっていた。
「ねぇ、小日向さん。氷を当てられていたところ、冷たいでしょう?舐めて、温めてあげようか?」
「え、あ……うん……」
「ごめんね、小日向さん。本当は、これをやりたかっただけなんだよね。どう?冷えた肌を舐められて、気持ち良くない?」
氷華は、優衣の少し赤くなった肌の部分を、丁寧に舐めていった。その赤みが引いて元の肌の色に戻るまで、優しく舌先を動かしていた。
「ああーん、気持ちいい……もう、何なのよ、これは……」
うっとりする優衣。こんな「遊び」、どうやって考えるのだろう?その優衣の疑問は、無意識に口に出ていたらしかった。
「これもね、ライトノベルに書いてあったことなの。いつか試したいと思っていたから、思い切ってやってみたのよ」
「月宮さん、何のライトノベルを読んでいるのよ?」
「私ね、わりとエッチなんだと思うのよね」
「え、ここで、そのカミングアウトなの!」
「そう。小日向さんは、エッチな私の餌食になってしまったの」
優衣は氷華の言葉が、どこまで本気なんだろうかと考えていた。それはそうと、これ、気持ちいい。氷の冷たさの感覚も無くなって、氷華に舐められて気持ちよくなっていた優衣に声が掛けられた。
「もう冷たかったのは大丈夫かしら。さて、じゃあ後半戦ね」
うっとりとしていた優衣は、気持ちの切り替えが追いつかない。“え、もう終わりじゃないの?”。そして、優衣を襲う新しい刺激。氷華が次のことを始めていた。
「あん、今度は何が来たのよ」
「知らない方が良いこともあると思うわよ」
「ちょっと、何それ、怖いよ……ちゃんと教えてよ」
「そう。今、手元に準備してるのは……羽箒に筆、歯ブラシに、たわしに……」
「ねぇ、途中で、何か変なものが混ざってなかった?それ、ダメだからね!」
優衣のお腹のあたりを、何かがカサカサと動き回る。
「ねぇ、ちょっと、ダメだから!やめて!」
思わず大きな声を出したところで、優衣の目隠しが外された。恐る恐る視線を下に降ろすと、氷華がカブトムシの玩具を優衣のお腹に這わせているところだった。焦る優衣を見て微笑む氷華。
「私の狙い通りね。焦る小日向さん、可愛かったわよ」
「もう、ほんとに焦っちゃったよ!」
「ところで、この筆なんだけど、先週も使ったの。小日向さん、おへそを筆でくすぐると面白いのよね」
「えー、それはダメ、ちょっと、やめてよぉ~」
その優衣を見ながら、氷華は、ゆっくりと優衣の足を縛るロープを解き始めた。
「うふふ、大丈夫よ、もう二時間経つわ。残念だけど、今日はここまでで終わりにしましょう」
「え、終わりなの?」
「そうよ。残念だった?」
「えっと……そんなことは、ないんだよ?」
そして、今日も約束の二時間が経過した。言葉とは裏腹に、少し残念そうな表情の優衣は、なんとなく物足りなさそうだった。
“これなら、また来週も、今日の続きを……。でも、さすがに毎週五千円の出費は大きい……”
氷華がそんなことを考えていた時だった。思いがけない優衣の言葉に現実に引き戻された。
「ねぇ、月宮さん。来週は、月宮さんが私の家に来てくれないかな?」
「それは……私が小日向さんの家に行くということは、小日向さんが私の支配権を交換するということ?」
「そう。たまには逆もいいかなと思って。ねぇ、ダメかな?」
無邪気に提案してくる優衣に、氷華は断ることができなかった。そして、優衣に支配権を交換することに、少しだけ、期待してしまっていた。「じゃあ、また来週」そう言い残して帰っていった優衣。
氷華は思う。“私、優衣に、何をされてしまうんだろう?”。
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#### 第10話:支配される覚悟
4回目の「遊び」の後の木曜日。優衣が次の週末に氷華を家に誘う。放課後、氷華は、いつもより少しだけ落ち着かない様子で、優衣を待っていた。
「小日向さん、本当に、私の家に来てくれるの?」
「うん!もちろん!月宮さんの家に来るってことは、私が支配権を交換するんでしょう?」
優衣の明るい声に、氷華は少し安心しながらも、不安を隠せない。
「小日向さんの家に行くってことは……私が、小日向さんに、何をされても、抵抗できないのよね?」
氷華の言葉に、優衣は優しく微笑んで、氷華の手を握った。
「そうだよ。でも、安心して。私が月宮さんを傷つけたり、嫌なことをしたりするわけないでしょう?私が、月宮さんのことを大切にするように、月宮さんも私のことを大切にしてくれたでしょう?だから、私も、月宮さんのことを大切にするよ」
「小日向さん……」
優衣の言葉は、氷華の心に深く染み渡った。これまで、氷華は「支配する側」として、優衣の反応を楽しんでいた。しかし、今度は自分が「支配される側」になる。それは、怖い反面、優衣への信頼が、その恐怖を上回っていた。
「小日向さんの言葉を聞いて、なんだか、不安が、期待に変わったわ」
「うん、それでいいんだよ。私も、月宮さんのこと、もっと知りたいから。月宮さんの、誰にも見せない弱い部分とか、そういうところを、私だけに見せてほしいな」
氷華は、優衣の言葉に、心の中で、大きく頷いた。
「わかったわ。じゃあ、来週末、楽しみにしているわね」
氷華は、優衣との「新しい遊び」が、きっと、自分を、そして二人を、もっと深く繋げてくれると信じていた。
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#### 第11話:『一夜限りの支配権交換』
翌週の土曜日、氷華は夕方に近い時間になってから、優衣の家を訪ねていた。今日は優衣の家族が泊りがけで外出しているらしい。
「あ、月宮さん、いらっしゃい」
優衣に迎え入れられ、一緒に夕食、入浴まで済ませた頃には、時計の針は午後十一時を指すところだった。今夜、氷華は優衣の家に泊まっていくことになっている。
時計を確認しながら、優衣は封筒を氷華に渡した。
「断られるかとも思ったんだけど、本当によかったの?」
「さすがに、私だけ断るわけにもいかないから……本当は断りたい思いもあったんだけどね。やっぱり、怖いから……」
「でも、来てくれたんだよね。ありがとう」
「ふぅ、ため息しか出ないわね」
そう言いながら氷華は受け取った封筒の中を確認すると、そこには間違いなく二万円が入っていた。氷華を見ながら優衣が言う。
「私は、欲しいものがあると、お金を貯めて、溜まったら一気に使ってしまうタイプなんだ」
「聞くまでもないことだけど、一応、その欲しいものというのは、何かしら?」
「月宮さんの体を自由にできる権利を交換したい」
「やっぱり、そういうことなのね?」
「うん、月宮さんの支配権。もちろん、私と同じ条件でいいよ。私も、月宮さんの体で遊んでみたくなっちゃった」
「それで、まとめ買いということなの?」
「うん、まとめ買い。月宮さんの支配権を一晩分、まとめて交換して、夜通し好きなことをして過ごすつもり」
今更ながら、今晩、優衣の家を訪ねたことを少しだけ後悔する氷華だったが、同時に、これから起こることに期待もしていた。
「小日向さん、今夜、私をどうするつもりなの?」
「すぐにわかるよ。さて、行こうか?」
「どこに行くのかしら?」
「今夜のために特別に用意したの。月宮さん用の遊び部屋!」
「ちょっと、さらっとすごいこと、言わなかった?」
「きっと楽しいと思うよ」
「本当に怖くなってきたわ……」
案内されたのは普段は使われていないフローリングの部屋で、中央にベッドが置かれている以外、他には何もなかった。そのベッドの四隅には革製の枷が鎖でベッドの足に繋がれていた。
「私は、このベッドに拘束されてしまうの?」
「うん、そうだよ。でも、その前に……」
優衣が氷華のシャツのボタンに手を掛けてきた。
「もしかして、私の服を脱がそうとしているとか?」
「うん、もちろん。あ、下着は脱がせないから大丈夫だよ。私の時と同じだから、これくらいはいいよね?」
「ダメとは言えないわね。ちょっと不本意ではあるけど……」
「不本意なの?」
「ごめんなさい、そんなことはないわ。ただ、恥ずかしいだけよ」
「はい、じゃあ、ベッドに横になってね。これから月宮さんの手足に枷をはめて、動けないようにしちゃうから」
「ふぅ、やっぱり、動けなくされちゃうのね……」
「ええ。トイレは済ませたよね?今は夜の十一時だから、これから八時間、明日の朝の七時までは、ずっとベッドに拘束されたままだよ」
そんな会話をしている間に、優衣によって氷華の服は脱がされて下着姿にされてしまった。そして、ベッドに横になる氷華。その手足に優衣が枷をはめていく。
「月宮さんの手首、細いね。ほら、右手の手首に枷がはめられちゃったよ。これ、外せないよー。もう、右手は動かせないね」
「う、うーん……」
「ほら、左手の手首にも枷をはめちゃった。もう、これで気が変わっても、月宮さん、逃げられなくなっちゃったね。さて、何をしようかなー」
「もう、小日向さんって、意地悪なのね?」
「そんなことないよ。楽しくてついね。ほら、右足の足首にも枷がはめられちゃった。ねぇ、どんな気持ち?」
「どんなって、そんなの……」
「よし、これで最後の左足の足首も枷をはめちゃった。もう、足を閉じられないね。下着姿で足を開いて拘束されちゃって、ねぇ、怖い?」
「いや、それは……ちょっとは怖いけど……」
四肢を完全に拘束された氷華に、優衣は仕上げの目隠しをした。
「うふふ、じゃあ、怖くないように、目隠しをしてあげるね」
目隠しされた氷華に、さらに優衣が話しかける。
「私の弱点は、首筋のキスとおへそのコチョコチョだったんだよね。今度は、私が月宮さんの弱点を探してあげるね」
「え、何をするつもりなの?」
「そんなに難しいことじゃないよ。時間は十分にあるから、まずは、月宮さんの体中をくすぐって、それから月宮さんの体中にキスをしてみようかな」
「え、そんな……」
「月宮さん、嬉しい?」
「え、あ……うん、そうね、嬉しいのかもしれないわね」
「もう、素直じゃないなぁ」
そして、優衣のくすぐりが始まった。想像以上のくすぐったさに、思わず叫びだす氷華。
「ああっ!ちょっと……あ、くすぐったい……あはっはははは、くすぐったいよぉー、あーん、あはっははははははははっはははははは」
「ね、目隠しされて、それでくすぐられるのって、大変でしょう?思い切り、笑ってね」
「あははっはははははははは、だめ、あはっははっはあっはっはあ、もう、苦しい……あっははっはははははははは」
氷華にとって、とても長い時間が経過した後で、優衣のくすぐりが止まった。すぐには次のくすぐりは始まらないらしい。やっと呼吸が整ってきた氷華は、優衣に尋ねた。
「ねぇ、小日向さん、今までのこと、実はとても怒っていたとか?それで、今日は、私に復讐している?」
「まさか、そんなことないよ。嫌なら四回も支配権を交換したりしないよ」
「確かに、それはそうかも……でも、それにしては、今日の遊びは厳しすぎない?」
「うーん、そうなのかな?私ね、月宮さんに感謝しているんだよ。自分にこんな願望があるなんて、考えたことがなかったから」
「え……願望?」
「うん。月宮さんをイジメるの、とっても楽しい。だから、もう少し、付き合ってね」
思わず考えてしまう氷華にお構いなく、優衣は話を続けてくる。
「くすぐられて、どうだった?今度は、気持ち良いことしてあげるね。ねぇ、どこにキスして欲しい?」
「え、そんな……そんなこと聞かれても……」
「教えてくれないと、キスは止めて、また、くすぐっちゃおうかなー」
「あ、いや、それはやめて!えーっと、じゃあ、首筋に……お願いします」
その言葉に優衣が動き出した気がする。目隠しされていても、近づいてくる気配はわかる。見えないけど、優衣の顔がすぐ近くにある。
「あ、あんっ!」
首筋に触れるようなキス。これが気持ちいい。そして、優衣の次の言葉。
「月宮さん、私、ちょっとだけ変な気持ちになってきちゃった。ねぇ、口にキスしていい?」
「うん、でも、今だけだよ……って、ちょっと、下着の中に手を入れてこすらないでぇー!」
何も見えない暗闇の中で、下着の中に侵入してきた手に、思わず叫びだす氷華。でも、その声は、見えない唇に塞がれてしまった。
“ねぇ、小日向さん、私をどうするつもりなの?”
こんなこと、ダメなのに……。そう思う氷華の意識は、快楽に流されていく。
“私、朝まで耐えられるのかしら?”
こうして、二人の夜は更けていった。
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#### 第12話:揺れ動く感情と再会
週が明けた月曜日、放課後の教室で、優衣が一人で残っていると、氷華が入ってきた。静かに優衣の隣まで来ると、手帳を取り出して広げ、中に挟んであった五枚つづりのチケットを優衣に見せた。
「小日向さん、これを交換する気はないかしら?」
「え、何それ?」
「私の体の支配権、五枚つづりのチケットよ。二万円にしておくから、五千円分お得になるわよ」
「え、月宮さん。もしかして、あれ、気に入ったの?」
氷華は何も言わずに優衣の背後に回り込んだ。抵抗できないように、ぎゅっと優衣の両腕を抱え込む。そして、そっと首筋にキスをした。
優衣の中に快感の記憶が鮮やかに蘇る。あの夜、氷華に何度も愛おしそうにキスをされたこと、そして、そのキスに身も心もとろかされそうになった感覚が、一気に押し寄せてくる。
「もう、ずるいよ、月宮さん。うーん、でも、さすがに二万円は……」
「大丈夫。現金払いの他に現物交換もありにしようと思うの」
「現物交換って、どういうこと?」
「そのままよ。小日向さんの支配権の五枚つづりチケットと交換しましょう」
氷華は抱き着いた両手で優衣の抵抗を防ぎながら、優衣の首筋をくすぐるようにキスし続けた。
その気持ち良さにうっとりしながら、優衣は答える。
「もう、仕方ないなぁ。じゃあ、今晩、作ってくるから、交換は明日でいい?」
「ええ、それで構わないわ。それと、チケット使用に条件を付けたいのだけど。一回につき、使えるのは一枚だけ。この前みたいに、一気に全部使って長時間とかは、ダメということにしたいわ」
「えー、あれ、良かったでしょう?」
「それは否定しないけど、あんなに長い時間続けられると、私が壊れてしまいそうなのよ」
少し緊張しながらも商談を成功させた氷華は、優衣を抱きしめる両腕から力を抜いた。その氷華の腕から抜け出した優衣が、さらに追加の提案をした。
「じゃあ、私の方からも利用条件の変更を提案しちゃってもいい?」
「いいけど、どんなことかしら?」
「もちろん、行き過ぎはダメだけど……ある程度までは性的なイタズラもOKってことにしない?私、月宮さんのあえぎ顔、見てみたい」
「性的なイタズラは、すでにされたような気がするけど?」
「あれは、ちょっと下着の上から触っただけじゃない。今度は、その手を動かしちゃうからね!」
優衣のあけすけな提案に驚く氷華。そして、想像してしまう。
“あの時、下着の上から触れられた手が、もし下着の中に入っていたら、私……どうなっていたんだろう?そして、次は、本当に……”
怖いけど、体験してみたい。氷華は答えていた。
「小日向さんって、本当にストレートな物の言い方をするのね。さすが、距離感クラッシャー……いいわ、私も覚悟を決めることにするわ」
「それから、思い切り胸を揉んで、気持ち良くさせちゃうとか……うふふ、月宮さんに、感情を実装しちゃうね!」
「じゃあ、私も。ライトノベルにあった内容で試したいこと、まだまだたくさんあるのよね」
お互いの欲望を確かめ合った二人は、それぞれの想いを胸に教室を出て、家路についた。
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#### 第13話:真実の愛と決意
週末、優衣の部屋。二人はベッドに並んで座り、それぞれの手帳に挟まれた五枚つづりのチケットを交換した。現金での支払いも、約束された「支配権」も、もはや単なる形式に過ぎない。もはや言葉は必要なかった。ただ見つめ合うだけで、二人の心は深く通じ合っている。
氷華は優衣に言った。
「私の……最初の相手は、小日向さんしかいないと、そう思っていたの」
優衣は何も言わずに、ただ氷華を抱きしめた。氷華の体から伝わる温かさと鼓動に、優衣は静かに涙を流す。
「私もだよ、月宮さん……」
そう呟くと、優衣は氷華の唇に、静かに自分の唇を重ねた。それは、これまでのキスとは違う、とても優しくて、温かいキスだった。
氷華は、優衣のキスを受け入れながら、ゆっくりと目を閉じる。優衣の唇から、優衣の心が、氷華の心に流れ込んでくるようだった。
「ねぇ、月宮さん。私と一つになってくれる?」
優衣の言葉に、氷華は何も言わずに、ただ頷いた。
二人は、お互いの服を脱がせる。ゆっくりと、丁寧に、まるで宝物を扱うかのように。服をすべて脱ぎ捨てると、二人の体が一つになった。
「あ……」
氷華の口から、甘い吐息が漏れた。優衣の温かい手が、氷華の体を優しく撫でる。氷華は、初めての感覚に、体が震える。
「大丈夫だよ、月宮さん。私がいるから」
優衣は氷華の耳元で優しく囁き、氷華の唇に自分の唇を重ねた。それは、氷華の不安をすべて取り去るかのように、優しくて、温かいキスだった。
氷華は、優衣のキスを受け入れながら、ゆっくりと目を開ける。目の前にいる優衣の瞳は、氷華の心を映し出しているかのように、優しくて、温かい光を宿していた。
「小日向さん……」
氷華の瞳から、一筋の涙が流れ落ちる。それは、これまで氷華が知らなかった、感情という名の温かい涙だった。
氷華の涙を優しく拭うと、優衣は氷華の秘部をそっと指で撫でる。氷華の体は、優衣の指の動きに反応して、大きく震えた。
「んんっ……あ……」
氷華の口から、甘い声が漏れた。それは、氷華自身も知らない、初めての感情だった。
優衣は、氷華の秘部を優しく撫で、愛おしそうにキスを繰り返した。氷華の体は、快感の波に揺られ、ただただ優衣の指に身を任せる。
「あぁ……あぁぁぁぁ……っ!」
氷華の体から、甘い叫び声が漏れた。それは、氷華が初めて知る、感情の爆発だった。
氷華の体は、優衣の指に身を任せ、そのまま快感の頂点に達した。
「どう?気持ちよかった?」
優衣が氷華の瞳をのぞき込むと、氷華はうっすらと涙を浮かべ、顔を赤くして優衣を見つめていた。
「小日向さん……私……」
氷華の言葉は、それ以上続かなかった。優衣は優しく氷華の頭を撫でる。
「大丈夫だよ、月宮さん。私と月宮さんだけの、秘密だから」
その言葉に、氷華の瞳から再び涙が溢れ出した。それは、羞恥心からでも、恐怖からでもない。初めて知る、感情の温かさだった。
「ねぇ、月宮さん。私も……月宮さんと同じ気持ちになりたい」
氷華は優衣の言葉の意味をすぐに理解した。氷華は優衣の手を優しく握り、優衣の瞳をまっすぐに見つめる。
「ええ……いいわ」
氷華の言葉に、優衣は優しく微笑んだ。そして、二人は、ゆっくりと顔を近づけ、初めてのキスを交わした。それは、ただのキスではなく、お互いの感情を、そしてお互いの体を捧げる、二人の決意のキスだった。
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#### 第14話:秘めたる扉の確認と交渉
二人は、互いの心からの決意を言葉にした後、ゆっくりとベッドに横たわった。照明を落とした部屋は、夜の帳が降りたように静まり返り、窓から差し込む街灯の光だけが、二人の体を柔らかく照らしている。互いの熱が伝わるほどに体を寄せ合いながら、二人は言葉もなく、ただ互いの存在を感じていた。
この静けさが、これから起こるであろう出来事への期待と、少しの緊張感を高めていく。
「氷華、準備はいい?」
「……うん。でも、少し怖いな」
氷華は正直な気持ちを口にした。それは、未知の痛みへの恐怖ではない。この行為が、二人の関係を決定的に変えてしまうことへの、一種の畏怖にも似た感情だった。
「大丈夫。私がそばにいるから」
優衣は氷華の頬にそっとキスをし、その不安を拭い去ろうとした。
「……優衣」
「なあに?」
「……本当は、処女じゃなかったりして」
氷華の言葉に、優衣は少し驚いたように目を丸くした。
「氷華が、そんな冗談を言うなんて」
「冗談じゃないわ。もし、そうだったら、優衣は……?」
氷華の真剣な問いに、優衣は微笑んだ。
「氷華が処女かどうか、なんて関係ないよ。氷華は氷華だもの。私が好きなのは、氷華の全部だから」
優衣のまっすぐな言葉に、氷華の心は温かくなった。
そんなやり取りのあと、優衣は氷華の体を優しく仰向けにした。氷華は少し恥ずかしそうに目を閉じ、スカートと下着を脱いだ。
優衣は、氷華の太ももからゆっくりと指を滑らせ、彼女の脚を優しく開かせていく。氷華の秘部が、街灯の淡い光の中に露わになった。優衣は、そこに広がる光景に息をのんだ。
「……氷華、すごく、綺麗」
優衣は、その言葉を口にするのが精一杯だった。そこに横たわる氷華の秘部は、今まで一度も何者にも侵されたことのない、純粋さと無垢さを保っていた。中心に存在する小さな開口部、その入り口を閉ざすように薄い膜が張っているのが、はっきりと見て取れる。優衣は、その「秘めたる扉」を、まるで宝石を見るかのように、愛おしそうに見つめた。
「これが、あなたの純粋さを象徴しているんだね……」
優衣は、震える指先でその薄い膜に触れた。触れるか触れないかの、ごく僅かな接触。氷華の体から、微かな震えが伝わってくる。
「……っ」
氷華の息が、小さく漏れた。それは、快感でも、痛みでもない、未知の感覚への戸惑いだった。
「氷華……この純粋な扉を、私に開けさせてくれる?」
優衣は、氷華の目をまっすぐに見つめながら、尋ねた。それは、支配と被支配の関係性から離れ、純粋な愛の行為へと移行するための、大切な確認だった。
氷華は、優衣の真摯な眼差しに、頷くことしかできなかった。言葉を交わさずとも、互いの心は通じ合っていた。
「……うん、優衣に、あげる」
氷華は、震える声で答えた。その声は、優衣への深い信頼と、これから二人で歩んでいく未来への、静かな決意に満ちていた。
「ありがとう、氷華」
優衣は、氷華のその言葉に、感極まったように彼女を抱きしめた。
これから起こる行為が、二人の関係を、真の意味で一つにする。そう確信した優衣は、愛おしそうに氷華の唇を奪い、深く長いキスを交わした。
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#### 第15話:痛みを伴う快感
優衣は、氷華の体を優しく仰向けにすると、震える手でゆっくりと氷華の秘部に指を当てた。氷華は、緊張と期待で、大きく息を呑んだ。
「……少し、痛いかもしれない」
優衣の優しい声が、氷華の耳元で響く。
「大丈夫……優衣が、そばにいるから」
氷華は、優衣の言葉を信じ、目を閉じた。
優衣は、氷華の秘部に、ゆっくりと指を挿入した。初めての感覚に、氷華の体は大きく震え、息を呑んだ。
「んんっ……」
氷華の口から、甘い悲鳴のような声が漏れた。それは、痛みではない。初めての感覚に、体が反応した声だった。
優衣は氷華の秘部に指を入れ、ゆっくりと、丁寧に、まるで宝物を扱うかのように動かす。氷華の体は、その動きに反応して、大きく震えた。氷華の頭の中では、理性が警鐘を鳴らしていた。でも、体は、初めての快感に抗うことができない。
「んんっ……あ……」
氷華は、優衣の指の動きに合わせて、腰を揺らす。それは、氷華自身も知らない、本能的な動きだった。
氷華の秘部から、甘い蜜が溢れ出す。優衣は、その蜜を指で掬い、氷華の秘部を優しく撫でる。氷華の体は、快感の波に揺られ、ただただ優衣の指に身を任せる。
「あぁ……あぁぁぁぁ……っ!」
氷華の体から、甘い叫び声が漏れた。それは、氷華が初めて知る、感情の爆発だった。
氷華の体は、優衣の指に身を任せ、そのまま快感の頂点に達した。
「どう?気持ちよかった?」
優衣が氷華の瞳をのぞき込むと、氷華はうっすらと涙を浮かべ、顔を赤くして優衣を見つめていた。
「小日向さん……私……」
氷華の言葉は、それ以上続かなかった。優衣は優しく氷華の頭を撫でる。
「大丈夫だよ、月宮さん。私と月宮さんだけの、秘密だから」
その言葉に、氷華の瞳から再び涙が溢れ出した。それは、羞恥心からでも、恐怖からでもない。初めて知る、感情の温かさだった。
「ねぇ、月宮さん。私も……月宮さんと同じ気持ちになりたい」
氷華は優衣の言葉の意味をすぐに理解した。氷華は優衣の手を優しく握り、優衣の瞳をまっすぐに見つめる。
「ええ……いいわ」
氷華の言葉に、優衣は優しく微笑んだ。そして、二人は、ゆっくりと顔を近づけ、初めてのキスを交わした。それは、ただのキスではなく、お互いの感情を、そしてお互いの体を捧げる、二人の決意のキスだった。
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#### 第16話:永遠の刻印
夜が明け、太陽の光がカーテンの隙間から差し込む。二人は、朝の柔らかな光の中で、裸のまま抱き合っていた。
「ねぇ、月宮さん」
「……なに?」
優衣は、氷華の秘部にそっと指を当てた。
「ここ……破けちゃった……」
氷華は、優衣の言葉に、恥ずかしさから顔を赤く染めた。
「うん……私、小日向さんに捧げたから」
氷華の言葉に、優衣は優しく微笑んだ。
「じゃあ、私も」
氷華は、優衣の秘部にそっと指を当てた。
「小日向さん……ここ、破けてる……」
氷華の言葉に、優衣は優しく微笑んだ。
「うん……私、月宮さんに捧げたから」
二人は、互いの体を、愛おしそうに撫で合った。それは、処女を捧げ合った結果を、互いに確認し合う行為だった。
「私たち……もう、処女じゃないね」
氷華の言葉に、優衣は優しく微笑んだ。
「うん。でも、いいんだ」
優衣は、氷華の瞳をまっすぐに見つめた。
「だって、私たち……処女を捧げ合って、新しい自分になったから」
氷華は、優衣の言葉に、優しく微笑んだ。
「うん。私、もう、アンドロイドじゃないから」
二人は、互いを強く抱きしめ、そして、新しい物語の扉を開いた。
二人のお人形遊び 舞夢宜人 @MyTime1969
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