インタビュー記録

体験者インタビュー


(霧島沙耶 調査記録 01)

保存ログをきっかけに、実際に“走った”という人物に接触できた。

A氏(30代男性/会社員/仮名)

待ち合わせ場所は人目の多いファミレスだった。彼は話しながら何度も背後を気にしていた。



――――――――――――――――――


> 霧島

Aさんがあの道を走ったのは昨年の秋、仕事帰りとのことですね。


A氏

はい。高速に乗ろうとしたらナビが勝手に迂回ルートを出してきて……。

“県道241号線”なんて知らなかったんですけど、深夜だったし近道だと思った。


> 霧島

最初は普通の道に見えたんですか?



A氏

最初は。ただ、すぐ違和感が出ました。

赤いガードレールが出てきて……気づいたら同じカーブに何度も戻されてたんです。

時計を見たら、針が二時間も動いてない。エンジン音だけが続いて。


> 霧島

その時、何か“見た”んですね?


A氏

……バックミラーに。

最初は白いシャツの影でした。

でも二度目に見たら、男の輪郭が出てきて。

三度目では、完全に顔が。無表情で……じっと俺を見てました。

振り返ると、誰もいないのに。


> 霧島

その後は?


A氏

急に景色が切り替わって、気づいたら出発地点に戻ってたんです。

“助かった”と思った。でも……街が違う。

コンビニの赤い看板が濁った色に変わってて、道路標識の地名から一文字消えてる。

……帰宅したら、妻が笑顔で迎えてくれたんですけど、声が少し低くて、癖が違った。



(録音終了)


この証言は掲示板の断片と驚くほど一致している。

特に「赤いガードレール」と「ミラーの三度目」。

そして“元の世界とは微妙に違う場所”に戻されるという点。


――もし「古市集落」がこの謎を解く鍵ならば、次はその集落について調べる必要がある。

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