霧島沙耶の調査ノートより
私が「県道241号線」という言葉を初めて目にしたのは、夜中のことだった。
締め切りに追われながら、どうしても手が動かず、気晴らしに覗いた匿名掲示板。
> 『昨日、県道241号線を走った』
たった一行の書き込み。
だが私は直感した。これは“ただの冗談”ではない。
奇妙なのは、どれだけ調べてもその番号が「県道一覧」に存在しなかったことだ。
241号線は空白。だがスレッドの中には、その道を「走った」と語る複数の人物の証言が残されていた。
数時間後、スレッドは管理人によって削除され、ログも消された。
それでも私は、キャッシュに残った断片をかき集め、さらに匿名の協力者から“保存ログ”を入手することができた。
存在しない道。
だが確かに「そこを走った」と語る人々。
そして彼らが一様に口にする、赤いガードレールと古市集落という言葉。
――次の本の題材は、決まった。
私はホラー作家・霧島沙耶。
この“存在しない道”の正体を追うことで、想像を超えるものに触れてしまうことになる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます