第2話:最初の歪み<サイショ・ノ・ユガミ>

時の創造者は、自らの壮大な実験のために、一つの宇宙を選んだ。彼は、その宇宙の歴史に、最初の「歪み」を創造することを決意した。

歪みは、絶望の連鎖を生み出すための、小さな「種」だった。彼は、その種を、ある惑星に植え付けた。その惑星の名は、地球。そして、その種は、地球が持つ時間軸の根源的なエネルギー、「クロノ・パルス」と共鳴し、ゆっくりと、しかし確実に、絶望の芽を育んでいった。

この歪みは、後に「ヴァージン」として具現化する、最初の悲劇だった。

時は流れた。クロノ・パルスは、地球の技術革新を促し、科学は飛躍的な発展を遂げた。しかし、同時に、人々の心に絶望の影を落としていった。地球は、環境破壊と資源枯渇によって深刻な危機に瀕し、人々は未来への希望を失いつつあった。

この絶望が、クロノ・パルスと共鳴し、歪みを加速させていく。

ある時、地球の優秀な科学者たちが、この歪みを検知した。彼らは、その歪みを修復するために、時間軸を操る究極のテクノロジー、「タイム・ファクター」の開発に乗り出した。彼らのリーダーこそ、後のクロノ・ゼロだった。

しかし、この科学者たちは、タイム・ファクターの開発が、時の創造者が仕組んだ「実験」の一部であるとは知る由もなかった。彼らは、タイム・ファクターを起動させるたびに、より大きな歪みを生み出していることに、気づくことができなかった。

そして、運命の日が訪れた。

タイム・ファクターの最終テストが行われる日、そのエネルギーは暴走し、時空に巨大な亀裂を生じさせた。その亀裂から現れたのは、地球の悲劇を凝縮したような、禍々しい姿の存在だった。

それは、人類が抱えるすべての絶望と、歪んだクロノ・パルスが結びついて具現化した、最初のヴァージンだった。

ヴァージンは、すべての人類の絶望を糧とし、地球に破滅をもたらそうとした。しかし、この絶望的な状況こそが、時の創造者が求めた「試練」だったのだ。

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