第27話:終焉の螺旋<シュウエン・ノ・ラセン>

集結した「時の超越者」たちの前に現れたのは、すべての時間と存在を無に帰す究極の虚無、「無の時間<ゼロ・タイム>」だった。それは、あらゆる物理法則を無効化し、周囲の宇宙の光を吸い込み、時間の流れすら停止させていく。

『……愚かな存在たちよ。君たちの創造は、すべて無に還る運命にある』

無の時間から響く冷たい声に、多くの時の超越者たちが恐怖に震える。彼らがこれまで築き上げてきたすべてが、意味をなさないもののように感じられた。

「みんな! 怯むな! 私たちは、絶望を乗り越えて、ここに来たんだ!」

カイトが叫び、エグゾフレーム・ユニバースを先頭に、無の時間へと突進する。しかし、無の時間は、彼らの攻撃をすべて吸収し、逆にそのエネルギーを奪い取っていく。

「くっ……力が、吸い込まれていく……!」

リナが焦りを滲ませる。その時、黄金のエグゾフレーム「クロノ・アーク」が、無の時間に向かって全エネルギーを放出した。

『我々の力は、無力ではない! すべての宇宙の希望を、今、ここに集める!』

クロノ・アークの叫びと共に、他の時の超越者たちも、それぞれの機体の力を最大まで開放した。無数のエグゾフレームから放たれる光が、無の時間へと向かっていく。しかし、無の時間は、その光すらも吸収し、その存在をさらに巨大化させていく。

「駄目だ……このままじゃ、みんなの力が吸い尽くされてしまう……!」

カイトが絶望的な状況に歯噛みする。その時、彼の脳裏に、クロノ・ゼロやクロノ・イデア、そして宇宙のコアとの対話がフラッシュバックした。彼らがカイトに託したのは、ただ戦う力ではない。絶望を乗り越え、新たな未来を創造する、その意志だった。

「リナ! シンクロ・ユニバース・ドライブを最大まで開放する! みんなの力を、俺たちの機体に集めてくれ!」

カイトの提案に、リナは一瞬戸惑ったが、すぐにその意図を理解した。すべての時の超越者たちが、自分たちの力をユニバースに集める。ユニバースは、宇宙のすべての希望を背負い、まばゆい光を放ち始めた。

『……それが、君たちの最後の抵抗か? 愚かなり……』

無の時間は、ユニバースが放つ光を吸収しようとする。しかし、ユニバースの光は、単なるエネルギーではなかった。それは、カイトとリナ、そしてすべての時の超越者たちの、絶望を乗り越えてきた「想い」そのものだった。

「これは、終わりじゃない! 私たちの希望は、永遠に続く!」

カイトが叫ぶと、ユニバースの光は、無の時間を構成する「虚無」を、「創造」へと上書きしていく。虚無に満ちた空間は、無数の星々が生まれる、壮大な創造の螺旋へと変わっていった。

無の時間との戦いは、終わった。カイトとリナは、すべての時の超越者たちの前で、自分たちの旅の終着点と、新たな始まりを語った。

「私たちの旅は、もう終わりです。この宇宙を、そしてすべての宇宙の未来を、皆さんの手で創ってください」

カイトは、そう告げると、ユニバースと共に、すべての次元の時間を統べる、新たな存在へと昇華していった。ユニバースは、もはや機体ではなく、カイトとリナの絆が具現化した、永遠の希望の光となった。

彼らは、すべての宇宙の時間の中心に、永遠の希望の灯火として、輝き続けることになった。

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