リーサル:アビリティ

@isigami

第1話 殺人思考

生まれて、歩けるようになる、喋れるようになる

物心がつく、そのプロセスに今(2100年)は

何の特殊能力がつくか?そこが入ってくる

それが普通、それ以外は異端そんな風潮まででき始めている。

そう考えるとやはり自分はこの世にとって必要ないんじゃないかと


「お子さんは、知能、身体、運動能力、全て基準通りです、しかし能力(アビリティ)の数値だけは

基準を大幅に下回っています」


医者にそう説明されると両親は

嘘をつかないで!!だったり、もう一度検査をしてください!!

とか色々医者に問い詰めたものだった


この能力社会、個人のアイデンティティは、どんな能力を使えるか?炎を使えるならどのくらい出せるか?炎の圧力は?炎の色は?

だったり光線を手からだせる、素早く動ける

(どのくらいの速度で)

個人の個性は異能力に置き換わり、その異能力を

【どのように社会に役立てるか?】そんな世の中

ただ生まれ落ちることに意味はなく

その後の付加価値に目が行く


自分は診断から程なくして幼稚園に入った

周りは異能力者、何も持っていないのは自分だけ

やはりイジメと言うものにあった

先生は見て見ぬふり

しかしそれは自分の中では普通だった

なんの社会貢献もできず、何も持たず

そんな存在自体がいらない自分には、殴る蹴るでできた痣だったりたんこぶだったりは生きているという感覚を与えた。

家へ帰っても両親の目に自分の痣は映らない。


初めて殺人を犯したのは、幼稚園から小学校に入るまでの少しの間であった

よく自分をいじめてきた男の子が殴りかかってきた時

いつも通り殴られるのを待っていると、脳裏にあるものが浮かんできた

今までの自分の選択肢は、【守る】だったが

そこに【殺す】という選択肢が

ためしにそこにあった石ころで殴りつけると

いとも簡単に死んでしまう

場所は決まって物陰であったため、殺したことには誰も気づかなかった

死体の隠蔽に困るという話はよく聞くが

自分は全く困らなかった、そこで自分の内面的能力に気づく


自分、僕は、【完璧な殺人をすることができる】


中学、高校

僕に害をなす存在はことごとく自分の前から消えていった、いや消していった

平行して僕の犯した殺人は、その全てが解決不可能の難事件、未解決事件となった。

しかし、僕が17になった年、具体的に言えば

12月、悪漢に絡まれ、ネズミの這う汚い路地裏で、その悪漢を刺殺した時、その後処理をしようと、いつもの隠蔽工作を働いた時であった、路地裏から1キロほど離れた生き物一匹さえいない廃棄区画

そこに何故か警官5名を連れた、若干20歳の男がいた


「君かい?殺したの?」


言葉が出なかった、コクリと気づけば頷いていた

手錠をかけられ、連行


警察署では取り調べが行われたが

本当のことを言ってるのに『嘘を付くな』だとか

『本当のことを言え』だとか

困り果てていると、精神鑑定?とやらにかけられ

無期懲役となった

それから6年、世界最大の異能都市とやらに輸送されることになり

護送車の中で揺られている


「異能都市ってのはどんなとこでなんですか?

綺麗ですか?汚いですか?それとも面白いところですか?」


長く揺られていると、こうしてつまらない話をしてみたくなる、

隣に座っていた重武装の警官が、はぁとため息をついて口を開く


「汚くて、つまらなくて、酷く気持ちの悪い

生きた心地のしない場所だよ…」


「はぁ、」


つまらない…今までですら面白くなかったのにさらにつまらないのか

嫌だな

そんな事を考えていると

車が激しく何かにぶつかった、車が横転、慌てて

警官たちが銃を持つ

それは幸運だった日本から異能都市をつなぐ道路間

そこに一人の男が、警官に向け一言


「その男を解放しろ」


警官が発砲、直後警官たちの胴は上下に切断される

男は車内に入ってくる

僕の隣にいた警官が銃を構えるも、上下に切断される


その男は丁寧に拘束を解いてくれた

少し質問してみたくなった


「君は僕の味方なのかい?」


「俺はあんたのファンってやつかな、テレビであんたのやったこと報道された時、胸にこみ上げるもんがあった、こんな凄え奴がいるんだって、なんの能力がなくてもここまでできるんだって」


その後も止まることを知らず、僕の殺人行為の数々をまるで歴史の授業のように当の本人である僕に聞かせ続けた


「俺はあんたに全面的に従う、したいこと、やりたいこと何でも手伝ってみせるぜ」


そうかそういう人もいるのか

質問ばかりで悪いと思うがこればっかりは気になったので聞いておく


「異能都市っていうのは、綺麗かな?それとも汚いかな?あとついでに面白いかな?」


男はう〜んと少し考え


「綺麗かどうかは人けどそれぞれだと思うけど

毎日毎日面白いことだらけだぜ」


それは楽しみだ


拘束を解かれ、雨で濡れたアスファルトの匂いを感じ外気を浴びる、その景色を見た時僕は、どこかで見た綺麗な繁華街の夜景を思い出した

男は不思議そうな目で僕を見つめる


「そんなに面白いかい?この景色?」


「あぁ、とても綺麗な景色だ…僕はここで何をすればいい?」


「何でもいいぜ、ここじゃ何でもありだ、

あんたの好きなようにやればいい俺はちゃんとついてくからよ、」


「名前を聞いてなかったね、僕の名前は深瀬レイゴ君の名前は?」


「俺の名前は荒山カワキ、よろしくお願いするわ」


当面の目標……そうだまずは


「僕は僕としてこの都市で生きる」


「なんだよそれ?w」

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