第7話ベテラン冒険者アマンダとの出会い
朝日が部屋中を明るく照らす。
体を大きく伸ばし、ベッドを這いずって、地面に足をつける。昨夜は色々と大変だったが、何事もなく夜を明かすことができた。
「あっ! おはようございますウェインさん」
まるで小鳥のさえずりのような、心地よい声が耳をかすめる。以前から思っていたが、リーフィアさんは本当に綺麗な声をしているな。
「おはようございます。早いですね。」
リーフィアさんは、既に起床して、身支度を整えていた。
「今日も冒険者ギルドにいかれるのですか?」
リーフィアさんは、昨日と変わらぬ身なりで外出の準備をしていた。今日も冒険者ギルドで依頼を受けるのだろう。
「はい。一日でも多くのお金を稼がないと、生活できませんから。」
その通りだ。宿代は折半したとはいえ、手持ちのお金は銀貨は少ない。金銭的に余裕がない、この状況で休んでいる暇なんてない。
「でしたら今日も一緒に依頼を受けますか?」
「いいんですか?」
リーフィアさんが驚いたような口調で聞き返してくる。そんなに驚くようなことだろうか?
「もちろんです!信頼できる仲間と一緒なら、俺も心強いですからね。」
「!! ぜ・・・ぜひお願いします!」
目を輝かせながらこちらをじっと見つめる。そこまで喜ばれると少し照れくさいな・・・。
◇◇◇
「今日は・・・これがいいな!」
依頼が張り出してある掲示板から、用紙を引きちぎって、ギルド職員のもとで受注手続きを行う。
本日の依頼は、薬草採取と、とある屋敷の雑草狩りだ。
「それじゃ、行きましょうか!」
「は・・・はい!」
今回の依頼報酬は合計で銀貨16枚だ。山分けだとしても、そこそこの金額になる。
「よし、今日も稼ぐか!」
そう意気込んで、ギルドを出ようとした時だった。
「よう兄ちゃんたち!」
背後から聞こえた、野太い声に引き止められて、俺とリーフィアさんは振り返る。
するとテーブルを陣取っている男たちが、嫌味のあるニヤけ顏を浮かべながら、こちらを見つめていた。
「今日も低ランクの依頼で、ちまちま小銭稼ぎか?精が出るじゃねぇか!」
この男たちには見覚えがある。たしか昨日も、俺たちを気味の悪い笑顔で見つめていたな。何を考えているか分からないが、関わらないほうがいいだろう。
「・・・行きましょう。」
「・・・はい。」
男たちに背を向けてギルドを後にしようとする。だが—―—
「おいおい!無視はねぇだろ!釣れねぇルーキーだな!」
だが、男たちは逃がしてくれなかった。
「そこのお嬢ちゃんも、そんなしょっぱい男と依頼を受けたって大した金にならねぇぜ。」
「俺たちと来いよ!そうすりゃ、懐も体も充実した日々を過ごせるからよぉ!」
男のうちの一人が、リーフィアさんに掴みかかる。
「嫌ッ!!」
「リーフィアさん!!」
もう我慢の限界だ。ギルドの施設内だろうが関係ない!頭に血が上った俺は、リーフィアさんを掴んでいる男の腕を払いのけた。
「いでぇ!このガキ!!」
「ッ!?」
逆上した男が、俺にめがけて拳を振り下ろそうとする。だが相手の体格は俺よりも一回り大きい。殴り合いでは勝ち目がないことは目に見えていた。腹をくくるしかない!覚悟を決めて、歯を食いしばった、その瞬間—―—
「そのぐらいにしときな!」
「「!?」」
張り詰めた声がギルド内に響き渡り、その場にいた者達が一斉に動きを止める。
「ア・・・アマンダ!?」
男の視線の先には、褐色肌にミディアムウルフヘアーの女性が立っていた。
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