偽りを纏いながらも、真実の想いで結ばれていく二人。
地下水道の少女アリーシャと、第二王子ノルヴィスが織りなすのは、愛と理想が交差する“共犯の騎士譚”です。
第1話は絶望の底から始まる鮮烈な導入。
第2話では、侍女としての日々の生活描写が温度を与え、やがて雨の夜に“共犯”として並び立つ瞬間が描かれます。
嘘の身分で得た居場所を、本当の行為で正当化していく——その反転劇が実に鮮やか。
冷たさと優しさを併せ持つノルヴィスと、処世の知と尊厳を失わぬアリーシャ。二人の関係がもたらす緊張と安堵の連続に、読む手が止まりません。
その選択の未来に、笑うか、泣くか、どっちだ。
短編と銘打ちながら、長編を思わせる重厚さを秘めた一作です。