④
紆余曲折の離婚成立から8年近く経ち、沙紀は無事、薬剤師国家試験に合格した。
その祝賀会(人数は4人だが“予算”は凄い??)の音頭取りは、自身も去年の一級建築士試験合格のお祝いをしてもらった金子さんだ。
さて、祝賀会の“第1日目”は、沙紀からのたってのリクエストで、すき焼きパーティ!
『初っ端は鯛の尾頭付きじゃないの?』とほんの少しだけ
だって!だって!だって!
「あ~!! このお肉はA5なのよ!!! それも和生がバイト先のスーパーで精肉部のチーフから直々に調達した物なんだから!! 卵はやっぱヨード卵一択でしょ!!
ヤキモチ焼かずに居られるか!!
「任せろ!」と気持ちよく出て行く金子さんの背中を見送りながら私はちょっとだけ仏頂面になる。
そんな私を見て沙紀はニヒヒヒと笑う。
「
「いいよ! アンタの祝賀会だもん!」
「そんなに余裕をかましていていいのかな……今だから言うけど、金子さんの前でブラトップ1枚になった時、可愛いJKの私は……半分“本気”だったんだよね」
「えええええ!!!」
「怒らないでよ! もう時効なんだから! 確かにお姉は魅力的だよ!私達二人の“姉”を張ってるんだから! でもお兄……金子さんもすっごく魅力的な男性なんだから!! お姉もいつまでも“金子さん”なんて呼んでないで、ラブラブ度をもっとダダ洩れさせないと!!」
「そんな事……分かってるわよ! でも結婚とかは……私はバツイチの使い古しだし……」
「お姉!ワタシ マジで怒るよ!!お兄が“お兄”で無くなったら!!……他のオンナ、いやオトコにでも……お兄を盗られたら、お姉の事、ブッ殺すからね!! 和生も来年は大学生の予定なんだから……」
「沙紀姉! オレは現役でキッチリ国立に受かってみせるよ!!だから決定と言ってよ!
「アハハハ そりゃいいね!私も和生も自室で耳塞いでいるから声でも何でも出して!!」
こうやってふたりして私を弄るけど……
ふたりは知らないのだ……私と金子さんが“本気”を出したらどうなるのかを……
でも、ふたりともごめんね!
気を遣わせちゃって
心の中で独り言ちたら、涙が零れそうになったので慌てて取り繕った。
「しゃーねーなー 金子さんの事、ヨシマサさんて呼んじゃおうかな?」
なんて叫んだらタイミング悪くドアが開いて“ヨシマサさん”が帰って来た。
「オレの事、呼んだ?! 外から聞こえたけど」
「これだから安普請は!!!」
と皆でゲラゲラ笑ったけど……
私の今の夢はね!
おのおのが家庭を持って大家族になった私達が一緒に居られる家をヨシマサさんに設計してもらう事!!
だから……
いつもいつも勝手を言って
ご・め・ん・ね!
おしまい
ごめんね 縞間かおる @kurosirokaede
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