Episode-18~愛情≒青星~


夢を見ているようだったな。


ギラギラとしたスポットライトは、太陽と同じ赤色を示してて、ShinE L!ghtを演奏させてもらえた嬉しさは、確かにこの胸に宿っていた。


みんなそれぞれバイトとかがあって、私もお店の手伝いが出来てなかったし。暫くはバンドはお休みしようということで、12月まではそれぞれ好きなことに専念した。


対バンまで、突っ走って来たから、たまには止まってみてもいいのかも。授業に集中したいもの、家族とか友達との時間を大事にしたいとか、生徒会に忙しいものもいて。


私は英語を勉強したくて、英会話を耳に流すのが最近の日課。


美紅と芽衣と買い物に行って、服を見たり試着した。メイクを試供したりリップとかマニュキアを買った。ピアス新調したり、また美容院行ったりしてリフレッシュの大事さ。


「あれ?髪型変わった?」


「うん、グレージュにしてみた。」


「黒と赤のメッシュも似合ってたけど!」


「グレージュも似合うね!いいなー!」


朝に学校行くと美紅と芽衣が言ってくれて。


「あれ、きぃちゃんピアスしてたんだね」


「ほんとだ、気付かなかった!」


「髪長いと隠れるからね。」


「へぇ、きぃちゃんに似合ってる〜!」


ピアスの変化に、教室ですれ違った時に優か奏響が気づいてくれる。慧はいつも眠そう、猫みたいな人だから、なにしてるのかよくわからない。


活動休止してても、別に仲が悪いわけじゃない。同じクラスでもギスギスしてないし、むしろよく話しかけてくれる。


屋上で弾いてる時も、優か奏響が視聴しに来る。でも、今は1人。よく晴れた空を見て思い出した、BlueStaR L!neЯ活動して、約1ヶ月。


みんなはBlueStaR L!neЯをまだ続けたいのかなとか時々、思うことある……みんな、楽しそうだけど、みんな考えてる事はわからないから。


私は、ずっとギターに夢を見ているからな。多分当分は離れられない。休みの日もギターかアコギだし、たまにベース弾いたり、ギターショップに行って、もっとなにかできることがあるんじゃないかと思いつつも、みんなと違う方向見ていたら、誰かが楽しくないバンド活動になってしまう。


それは、私の本意じゃない。


それは天から観ている太陽にしか、この答えは分からないのかもしれない。そんな私らしくないことぼんやり考えていたら、後ろからドアが開く音が聞こえて、こっちへ来る3人の足音がに近づいて来るのがわかって、私は振り返る。


「穂川さん?」


「きぃ…ちゃん!?」


「どうした?」


奏響、慧、優が何故か驚いた表情をしている。


「何?」


「何って気づいてねーのか。」


「泣いてるんだよ、きぃちゃん。」


あぁなんかちょっと頬が冷たいなと思ったら、おかしいと思ったんだ、空は晴れているのに私の頬が濡れているからなのか。


「なんでもない。」


そう言って顔を背けたのに、ラベンダー色のカーディガンが見えてから温もりを感じた。


「なんでもない人が泣くと思う〜?」


どうやら優に抱きしめられて、見せた顔は困ったように笑う表情だった。誰かに抱きしめられるなんて思わなかった。


「部室で話すか?ここじゃ寒いし?」


「きぃちゃん自分で解決しちゃうタイプだから、溜め込んでそうだよね〜」


「言いたいこと言っていいんだぞ。なんでも。」


「俺ら何言われても怒らないし、な?俺たちは、仲間なんだから遠慮し過ぎるのも良くない。」


私は奏響に手を引かれ、優に背中を押されて、慧が頭に軽く触れた。この前の対バンのラストの時を思い出した。


赤のスポットライト、BlueStaR L!neЯ……続けたいな。そう強く思ったからこそ、少し怖い。


ーー「みんなは、BlueStaR L!neЯすき?」


少し話し合った放課後。


BlueStaR L!neЯを続けたいのか、私の話は拙かったかもしれないけど、真剣に聴いてくれた。


自分でもなんかうじうじした感じが鬱陶しいと思う。


「俺は続けたいよ。BlueStaR L!neЯ!」


「僕も〜!まだ12月じゃないのに、ドラム叩きたーい!生徒会は座ってばかりだから、絶対腕筋肉痛になるよ〜これ!」


「井間は鍛えが足りねぇんじゃねぇか?せっかくツインキーボードにしたからな、訛らせるのもったいない。俺も、まだやるつもりだ。」


「SiNSilentの箱バンになる時から覚悟してるよ。俺、穂川煌夏の隣立ちたい。」


「僕ね、きぃちゃんの歌詞大好きなんだ。本当にあの青空みたいで、澄んでて広い歌声の中に熱の芯があって、心がポカポカするんだ〜!


ごめんね、もっとこの話早くしてたらよかったね。きぃちゃんを不安にさせちゃってさ!」


「俺の音楽の熱を燃やしたのは、穂川だ。穂川がスコアを渡してくる度にわくわくしてくる、俺はまだ上手くなれるそんなスコアで、俺は楽しんでいる。


だから、安心しろ。BlueStaR L!neЯは青い星を流れる熱狂を、なんだろ?」


よかった、私の周りにはちゃんと奏響、慧、優が居た。


「ありがとう……ごめんなさい。」


なんで、私は泣いているのか、でも温かいな。


「あわわ、目擦っちゃダメだよ〜タオル!」


「穂川さんがそんな思い詰めてるなんて思わなかった!これから、ちゃんと伝える!BlueStaR L!neЯが好きだと!」


「そうだな、もう不安になることはない。」


SNSで、少しお休みを頂いてましたが。

本日より再始動しますー!


これからもよろしくお願いします!


@KI!NA_BlueStaR L!neЯ

@SoRa_BlueStaR L!neЯ

@KeY-BoarD_BlueStaR L!neЯ

@DRUM-Yu_BlueStaR L!neЯ


@StarLinerFan: «BlueStaR L!neЯ!再始動か、おかえり!!»


@MusicSoul_X: «クリスマスワンマン、期待大!!»


話し合ったあとは、気を晴らすかのように練習をした。今日はShinE L!ghtを演奏した。


「あれ?いつものギターと違うような。」


「うん、Fender Telecaster の弦を6弦に増やしてみた。音の幅広げたくて。今は慣らし中。慣れたら7弦にしたい。」


「相変わらず、ストイック〜!」


「弦か…なるほど。俺もベースの5弦増やそうかな?」


「ローが効いた曲調になるね、少し持ち曲またブラシュアップしようかな。」


「穂川……お前体調崩してくれるなよ。」


「僕もちょっと心配。夢中になると一直線タイプだからね、きぃちゃん。」


さっきまで明るかった空は、もう薄暗くなっていて、コンビニによって肉まんを食べた。私はホット紅茶にしたけど。


紅茶を飲むと白い吐息が見えて、もう冬が来るんだな。


前まで空調は冷たかったのに、今では暖かくなって来たし。


「ごめん、泣いちゃって。」


「そんなこと気にしてない!」


「驚いてたから。」


「泣くイメージあんま無かったから。」


「たまには、話す時間を設けるのもありかもね!これからは!」


さっきも練習しながら話をした。私のまだファイルにある楽譜、全部曲にしようとか、ちょこちょこ話した。


クリスマスワンマンライブも控えてるし。


群青色の中に白い輝きがいくつか見えた。



12月にならずも、練習は再開され、心はもう曇りひとつの無い空だった。


ーーー果てしなく青一色で、遠いな。


「きぃちゃん、いーた!寒くないの?」


「寒いくらいがちょうどいい。」


「今日はギター弾いてたんだ?」


「うん。もう体の一部。」


学校のライブもやらなきゃな。クリスマスライブの前に。


「あ、よく見たらアコギの弦も1本増えてる!」


「バレた。」


「きぃちゃん本当に風邪ひかないでよー!?ギター&ボーカルいなきゃ困っちゃうからね!」


優のドアップな顔が……しばらくは部室で弾くことにしようかな。


「なんで楽器ファイルの全部曲にしようって言ったの?」


「ん〜、だってもったいないじゃん!多少アレンジはいるかもだけど、きぃちゃんの想いが詰まったのを曲にしないなんてもったいない!」


「そっか。新曲作っちゃった」


「もちろん、それも楽しみ!きぃちゃんの曲、元気出るから、みんなにお裾分けしたい!」


ーーーピロローン〜♪


「着信かな?」


「うん。秦さんだ、珍しい。」


秦さんからの電話は、バイト1時間前にBlueStaR L!neЯみんなに来て欲しいと言われて、放課後早めに練習を切り上げて、SiNSilentに行った。


部屋に入ると秦さんの隣にもう1人の男性がいた。


「はじめまして、アンブレーベルの梅田 夕弥(ゆうや)と申します。」


「アンブレーベルと言えば、Ronder HereとFranPlaZmaが所属しているレーベル。」


「おっしゃる通りです、瓏さんや降川さんから話をお伺いしてから調査しました。


是非、BlueStaR L!neЯの皆さんと契約したいと思い、お伺いしました。」


「マジか!?」


「BlueStaR L!neЯもついに、インディーズになるのか。」


瓏さんの話聞いてから、少し考えていた。


これから、BlueStaR L!neЯはどうしたいのか。私たちは多分まだ進化の途中。


インディーズを契約するのに相応しいんだろうか。


「すみません、私がこんなことを言える立場か分かりませんが、クリスマスワンマンライブで決めたいです。


というのも、私はRonder HereとFranPlaZma比べて実力不足だと思ってます。まだ結成して若いからというのもありますけど。


半端なまま、インディーズに行きたくない。」


「きぃちゃん……確かに、ちょっとその階段を登るのは早いかもね。」


「俺らはまだ高一だしな。」


「もう少し高校生らしいバンドやりたいような気も俺もする。」


「ごめんなさい。梅田さん。」


「いえいえ!逆にBlueStaR L!neЯの皆さんの素直な言葉が聞けて嬉しいですよ、そうですよね。まだ決めきれない部分もあるとは思いますから、わかりました、クリスマスライブを終えた時、また話させてください。」


私はこのままライブハウスのバイト、奏響たちは帰った。掃き掃除して、ドリンクの交換して、受付に待機。


「良かったの?レーベルの話」


「秦さん。考えてはいましたけど、まだ足りてない気がして。」


「実力は十分数字に出ていると思うけどな!」


数字も大事だけど、私はBlueStaR L!neЯを大事にしたい。


「クリスマスライブまでには、答えだしますよ。」


「真面目だな〜、穂川さん。でも嫌いじゃないよ!」


秦さんと話していると別バンドのライブが始まった。



きぃちゃんって、自己肯定感低いよね。


あんなストイックな人、僕初めて見るかも

授業以外はギターかアコギ触ってるし、テストの点も高い方だし、生徒会の書記をしながら考えていた。


たまーにストイック過ぎて、けーくんと一緒で心配になる。


そういえば、学校ライブやりたいって言ってたな〜


「古瀬先輩、体育館の申請どこにありましたっけ?」


「そこの棚にないか?」


古瀬さん、この前の文化祭の司会をしてくれた意外と気さくな生徒会会長だ。けーくんも少し見習ったら、モテるのになー。


きぃちゃんの涙、きらきらしてて綺麗だったな。こう思うのは不謹慎かもしれないけど、秋冬特有の澄んだ空気に輝いてたんだ。


きぃちゃんの強い想いだったからかも。初めて泣いてる姿見て、つい抱きしめてしまった、僕もなんかたまらない気持ちになっちゃって。


僕たち、嫌々で音楽はやってない。まぁ挫折を感じてなかったといえば嘘になるけど、どの楽器もドラムも難しいからさ。


SMerAの零さんみたいになりたいと必死に練習してるけど、なかなか思うように行かなくて、たまに聴いてるんだ、挫けそうになったらSunSet Glow Wayが好き。


「ある夕陽が差し込むと、眩しい輝きに

影が生まれる。不安や葛藤が、ひそひそと凪いでいる。


その時間はきっと、大事な時間。

目をつぶって、深呼吸をしすると

温かで、涼やかに中に入り混む。


そして、開けるとまだ太陽は輝き続けている。


きらきらと、輝く空

オレンジ色の空、甘くて酸っぱい味が

僕の心は、安らかに眠りにつく。」


いい曲だよね、秋風吹く日に聞くとさらに映える。


きぃちゃんの手たまに握るけど、そーくんよりタコが多くてびっくりする。きぃちゃんギターもアコギも歌も上手いのは知ってるけど、こんなに頑張ってるんだって


僕も頑張らないとなって思うんだ。


いつでも階段登れるように、なんでも頑張るよ。



俺は今楽器屋さんに来ている、ベースの弦を増やす為に。我らBlueStaR L!neЯのギター&ボーカルの穂川さんにまた火をつけられてしまった。


何回、彼女に火をつけられるのか。多分これからも負けたくないなって思わせるんだろうな。


おかげで毎回練習に気合入ってるし、結成したてより、実力は上がっていると思う。


最初のShinE L!ghtと今のでは全然違う。


凄いよ、ほんと。そんな彼女が泣いてしまうほどBlueStaR L!neЯを想っていたのは驚いたけど嬉しかった。


穂川さんを誘って良かったなと思った。


今もあの放課後に穂川さんと出会ったのを。あれは間違いじゃなかった、運命の糸はこうして弦へと繋がっている。


「お待たせしました。メンテナンスと弦の追加いたしました。」


ケースから確認する。いつもこの店は完璧以上に綺麗に帰ってくる。


「ありがとうございます!」


「こちらこそ大事にされてるのが、このベースから伝わりますよ!」


俺はケースを閉じて受け取り、スタジオに向かった。早く弾きたくて、早く穂川さんに追いつきたい。


次は絶対、不安にさせない。


俺は穂川さんを見て不安に思ったことないけど、穂川さんにそう思わせてしまったことが、俺は悔しい。


その実力を絶対培ってやる。


インディーズレーベル、俺は目指したいな。

BlueStaR L!neЯと。



夕飯食い終わった後、俺はヘッドホンしてキーボードを弾いていた。


新しい曲のアレンジを考えていた。穂川の楽譜はなんかいいよな。それは多分、春田も井間も感じていることだろう。


楽譜見るとすぐ弾きたくなるんだよな。


俺は小学校の時からピアノをしていた。母親がピアノの先生やってて、母親が楽しそうで俺も初めたけど、上手く行かなくて辞めてしまった。


けど、春田の兄貴のを見てバンドというものを知って、ピアノって楽しんだって思い起こしてくれた。そして、また母親に頼んで練習再開したら、母親は嫌な顔どころか喜んでくれた。


上手くなることが楽しくて、弾けるようになるのが嬉しかった。


動画というものを知って、俺はFranPlaZmaの降川さんに憧れたんだ。だから、SiNSilentのライブの日に降川さんがいた時は本当に驚いた。


打ち上げの時に降川さんからエフェクターやアンプを頂けるという大イベントがあって、「すぐ使いたいでしょ?」って言って、その翌日持ってきて下さったんだ。


家や練習、ライブでも大事に有難く使わせてもらっている。


ツインキーボードにしてから、また違った音の世界へ広がった時はとても楽しくって


つい、今もキーボードに居座っている。



穂川の背中は頼もしい、後ろから見ててライブの度に思う。アホ田は知らんが。


今はツインだけど、次はトリプルキーボードかもな。穂川の曲の世界は、ここじゃないよな。


もっと広い世界が、BlueStaR L!neЯには

合っていると俺は思う。


音を支える身としては、穂川に安心してもらいたいと俺は今日もペダルを踏む。



ある日の軽音部の部室。


「学校ライブ、12月3日金曜の放課後やろう!」


「あー、手伝ってくれたお礼にってやつね。」


「生徒会の確認したら、そこが直近で空いてたから!その後はワンマンに向けてやらないとだし。」


「3日なら、なんとかなるな。」


カレンダーを見ると、12月3日だと、あと5日か。


「問題ない。さらに進化したBlueStaR L!neЯを学校にの生徒に先行で示すのも面白いな。」


まだ対バン以降、お喋り配信はしてるけど、ライブやっている配信はまだやっていない。


またちょこちょこSiNSilentのライブ入れないとダメだろうし、秦さんと明日バイトの時に相談しよう。


「じゃ、12月3日に申請しておくね〜」


「優、よろしく!」


「おっけ〜!」


次の日のお昼休憩、私は放送室にいた。


『こんにちは。穂川煌夏です。12月3日金曜の放課後にSchool in Liveを行います。


ぜひ、遊びに来てくださいね。ライブ配信もさせて下さい、よろしくお願いします。


ではBlueStaR L!neЯでした。』


そこから練習していなかった分、挽回するかのように練習した。


「あれ、奏響のベース弦増やしたね」


「うん!4弦から5弦に進化だぜ!」


「けーくん、この前ツインにしたばかりなのに、もうトリプルにするの?」


「死ぬ気で練習するから、安心しろ。」


「うーん……そーくんもそう来るなら、僕も何かした方がいいかな。


エレクトロニックドラムパッドの追加、さらなるペダルワークの強化しよっかな。」


慧というか、BlueStaR L!neЯは基本ストイックだからその辺はあまり心配してないけど。


BlueStaR L!neЯは、急加速にレールを走り続けている。次に到着した駅の景色はきっと、最高の景色が見れるだろう。


私も負けてられないな、換気の為に開けた風が火照った顔が冷めた。


「きぃちゃん、寒いよ〜」


「換気大事。寒い方が練習に身が入る。」


「せめて、もう少し閉めようぜ!穂川さん!」


「ほら、あと1時間練習するぞ。」


今日もオレンジ色と群青色のグラデーションが綺麗だな。私のFender Telecasterに6弦からもう一筋の流れ星が足された。


BlueStaR L!neЯは、いくつもの星の流れて

小さくもたくさん輝く。


例えもしも雨か降ってしまっても…。


……To be continued

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