八
「某が知るきどうまるは京の都の守護神カヤト
明智光秀の言葉にオレが首を傾げていると、明智光秀はを続ける。
「神刀鬼導丸は京の都の鬼門に位置する比叡山延暦寺にて封印されているべきものです。これだけ長く世が乱れているのはカヤト
明智光秀の言葉にオレはようやく口を開く。
「オレがこの刀を手にした時には『京の寺に封印せよ』と言われたような気がしたが、比叡山延暦寺か⋯⋯。承知した。明智殿を浜松に届けたら比叡山延暦寺に行くとしよう。まずは食え。保存食ばかりだが食わないよりはマシだろ」
オレがそう言うと明智光秀は並べておいた食糧にむしゃぶりついた。よほど腹が減っていたのだろう。オレは明智光秀が食べている間、祠の外に出た。佐平を呼びこう告げた。
「オレは明智殿を浜松に送った後、比叡山延暦寺に直行する。雪乃に元気でなと伝えてくれ」
オレの言葉に佐平は首を横に振る。
「そういうのは自分で言え」
「ことは急がなければいけない。これ以上の悲劇を起こしてはいけないんだよ、佐平。頼む」
オレがそう言うと佐平は渋々頷いた。オレがふたたび祠の中に入ると明智光秀は眠りについていた。空腹感から解放されたのと安心感から眠ってしまったのだろう。まあいい。オレも朝まで少し仮眠をとろう。
翌朝、目覚めた時には明智光秀もすでに起きていた。オレは明智光秀に軽く挨拶をしてすぐに出発すると伝え、祠の外に出た。しばらくすると明智光秀が祠から出てきたので佐平に合図をしてオレは明智光秀とともに浜松を目指して歩き始めた。明智光秀には旅の僧侶の恰好をさせオレはその従者の恰好をする。そもそも明智光秀が居城の近江坂本城と逆方向に逃亡するとは誰も思うまい。前回の帰りにできるだけ安全な道程を確認してきた。平楽寺跡から百地砦跡を通る道程がなぜか一番織田軍と遭遇するおそれがないということがわかった。今回は一揆に遭遇することもなく順調に上野盆地を拔けて伊勢路へと近づいていく。まあもっとも、織田信雄の支配に不満をもつ伊賀衆が不穏な動きを見せていたが今のオレには関係ない。さて、問題はここからだ。伊勢路は町中を行くしかない。となると、場合によっては明智光秀を背負って
オレたちは慎重に伊勢路を歩いていく。もうすぐ伊勢亀山城というところで旅の僧侶、いや地蔵に声を掛けられる。
「おや、カヤトさん。お久しぶりだね。浜松に行くのかい。でも、この先はやめたほうがいいよ」
地蔵の言葉にオレは苦笑いをする。
海路じゃ逃げ場所がねえんだよ。
地続きならいざという時はどうとでもなる。
伊勢亀山城を過ぎたところに物々しい臨時の関所がおかれている。
ん、関所の位置が逆のような気がする⋯⋯。
間もなくオレたちの番というところでオレは意を決して
「おいおい、そんな物騒なもの出してどうする気だ」
しまった。
まさか
「某は徳川家家臣、本多平八郎忠勝。信雄殿は某と一戦交える気か。こんな関所なんぞ作りおって。面倒くせえ」
本多平八郎はそう言ってオレを見て笑った。
そういえば、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます