意味なんてなくったっていいじゃないですか

つばめいろ

第1話

 先輩は何にだって意味を見出そうとする。間違えて買ってしまった、狭い部室には長すぎるコードは、「高いところまで届く」とか言って、無理して高いところに置いて、パソコンにつなげて使っている。こんな感じで先輩はいつも無理やり理由を作って笑っている。なかなかいい理由が思いつかないときは、唇を執拗に触るクセがあるのを知っている。ずっと一緒にいたから気付いたことだ。私は、そんな先輩が好きだ。


 ある日、私は早く帰らなくてはいけなくて、先輩と会えなかった。ここが一つの分岐点だったのだろう。


 その日私は、不運にも事故にあって死んでしまった。私の葬式に先輩が来ていた。今日の先輩は、いつもと違って哀しい顔をしている。先輩は何かを必死に考えているようだ。その証拠に唇を何度も触っている。幽霊の私は、届くことはないけれど先輩に話しかける。


「先輩、たまには意味なんてなくったっていいじゃないですか。ただ笑ってくれればいいんですよ」

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意味なんてなくったっていいじゃないですか つばめいろ @shitizi-ensei

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