異星人との交遊 

ようすけ

第1話 

こんな話は誰も信じないかと思うが、わたしは大人になってから熊に攫われた。東北の山村できのこ狩りをしている時に、いきなり毛布に包まれたかと思うと、とても早いスピードで山の中を移動させられている自分に気がつく。思えばそれが熊にさせられていたお姫様抱っこなのだと思うと、それでも自分が落としたきのこを拾おうとして右手を伸ばしていたわたしは呑気だった。


熊の穴では、三匹の子熊と一緒に暮らした。現実の生活にうんざりとさせられていたわたしは自暴自棄で、いつ食べられてもいいからと、熊が持ってくるドングリや鹿、川魚などを子熊たちと分け合ってすくすく育っていった。


これは半ば危惧していた事態ではあるが、ある日、熊が仮名子という名前の仮名の女を連れ帰ってきた。これには度肝を抜かれた。これまでドングリや鹿、川魚をしか食べてこなかったわたしと三匹の子熊たちは、母熊が持ってきたそのようなご馳走に、ちょっとだけ罪悪感を覚えた。

もちろん子熊たちが日本語を喋ることは無いのだが、知性のあるホモ・サピエンスとしてのわたしが熊語で「これって食べていいのかな?」と子熊たちに聞いてみた。仮名子は誘拐のショックで眠っていた。

子熊の中でも冒険心豊かな子熊が答える。

「食べるよりもやっちまった方がいいよ、セックスさ」

「人間の女の子だぜ、お前から先にやって人間がどういう風に”やる”のかをおれたちに教えてくれよ」

「やらないのならこっちからやるぜ、熊のおちんぽこでどの程度イカせられるのかは分かんない」

この頃にはわたしの熊語はかなりの熟練度を見せていて、子熊たちは概ねそのようなことを言っていた。


仮名子には見覚えがあった。わたしがまだ東京の街なかでストレス過多の生活をしていた頃、取引先に連れられて行った秋葉原の路上でコスプレ撮影会をしていた女の子を見ていたのだったが、恐らく同一人物だ。

熊に誘拐をされたショックで眠っている顔を見ていても、それは確かに同一人物だと断言ができる。

わたしたちが仮名子を見ながらああだこうだと話していると、母熊がきて仮名子の足をもぎって食べてしまった。そのショックで今度は仮名子が起きた。

「誰なの、あたしの足をもぎって食べてしまうのは」

わたしは咄嗟に仮名子の頭を石でかち割った。仮名子はもう生きていてはいけない女だった。足をもぎられた後は、こんな山の中ではのたうち回るより他無い。

母熊に足をもぎられたので、仮名子はわたしたちの目にはもう食べものにしか見えなかった。今まで仮名子を前にして戯言を喋っていていた子熊たち三匹はスイッチが入ったように食事を始めた。わたしも食べたが、仮名子にはあまり食べる所が無かった。大方、秋葉原の街でアイドルを夢見て頑張っている所に、AV出演の話が舞い込んできてそれに出演してしまったのだろう。そんな女の子たちが東京の街には沢山いるのだ。

わたしは仮名子の乳首を歯で取った。それをまだ口に含んだままにする。

そして熊たちに破られてしまわないように衣服を脱がせ、自分に着せた。仮名子はアイドルを目指しているだけあってスレンダーな体格で、熊の穴でぶくぶくと太っていたわたしに仮名子の服は小さすぎたが、腹だけを出した状態で山から降りた。ここからはどう歩けばいいのか分からない。だか熊の穴に居続けるよりかはましだと思った。

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異星人との交遊  ようすけ @taiyou0209

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