破れ目のサニー
古都綾音
プロローグ
プロローグ
ぶわっ……
空気が流れた
空間が逆流する!私は落ちて行く
不思議と怖くない
これから死ぬのに……死ぬはずなのに?
あの高い塔から落ちて生きているものなどいないのに
私は生きていた
しかもシュタ……なんて片膝で着地なんかしちゃって
「アーチ様!」
え?
「アーチボルト様」
女の子がかけてくる
誰だろう
私サニーなのに
噴水に映るのは銀髪の貴公子
え……え……?
「アーチ様!どうか私に妃になれと仰って……」
嫌だ!この女の子香水臭い!
匂いすぎる!
誰だろう
「どちら?」
声はバリトン
すてきじゃないの
「ハミルトンの ミナです!お忘れなんて酷いわ!舞踏会で踊ってくだすったのに」
「?」
考えろ!考えろサニー!
あなたはどうして塔から落ちた?
落とされた?自殺しようとした?
どっち!
そしてどうして私がアーチなのよ!
どーして
舞踏会の 華とまで呼ばれたアーチボルト
名だけは聞いた
会ったことは無いけど銀髪の 貴公子で 勲章なんかつけてて
隊服自慢げにきて若い女の子とみれば 舞踏会に誘うとかいう あの男?
こんなイケメンなのね
でも
ありえない!
私はどうした!
サニーは?
遺体くらいありそうなもの
そうだよきっと 植え込みにでも落ちて
アーチボルトのそばに霊魂だけでただよってて!
きっとね!そうなのよ!
「あなたと家庭を持つつもりは無い」
そうそうことわって!
「アーチボルト様」
ミナが すがりついた
バシ!
アーチが振り払う
殴る事ないじゃない!噂に違わずやな奴ね
「もうお会いするつもりは無い!ミナ嬢」
ミナは ハラハラと泣きながら 城へ走っていった
「サニー」
「?」
「聞こえるか?サニー」
なに?
アーチが私に話しかけてる?
「は……」
聞こえてるな
少々手荒いが こうする他はなかった
「許せ」
はい?
なんなの
記憶!記憶!!記憶!!!
真っ白
覚えてるのは落ちたのと
名前と アーチの顔だけ?
あとアーチのうわさ?
なんだろうイヤーな気がする
サニー確かえーと
17歳
女の子よ?
間違いない!
こんな粗野な 男なハズないです
はい!確かに!!
でも
彼と一体なのは確かで!
うーーーーーーーん
どーーーーなったの?
これからドタバタ始まるのが
私と アーチの お話です
くれぐれもアーチには惚れるべからず
泣いた女の子は数知れずなんだからね!
「サニー」
あーーーうっさい!
なぁによ
「はい!何ですか!殿下」
出るじゃない声
んーー良かった
殿下と呼ぶな!アーチーだ!
それは愛称
極親しい人しか知らない
「いえ!アーチボルト様」
「お前はいつもそうだな!やきもちでもやいたのか?」
だからなんでだよ!
どーしてアーチボルトに やきもち?
んーーん!どうなるのよー
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