企画参加ありがとうございます。
まず、かなり腰を据えて書かれている作品だなと感じました。
怪談、幼馴染、学校生活、部活動、恋。
要素だけ見ると散らかりそうなのに、最初に町の言い伝えをしっかり置いてから、日常の空気へ入っていく構成が丁寧です。
「デスミラー」という不穏な存在が先にあることで、何気ない学校生活や幼馴染同士の距離感にも、ずっと薄い影が差しているように読めました。
特に良いと思ったのは、ホラーの怖さだけで引っ張るのではなく、健斗と凛音の関係性をちゃんと時間をかけて見せているところです。
近いはずなのに、昔のようには近づけない。
知っている相手なのに、今の相手には少し届かない。
この幼馴染特有の距離感があるからこそ、怪談部分の不穏さも、恋愛部分の切なさも効いていると思います。
文章も、世界観を急いで説明して終わらせるのではなく、町の歴史や学校の空気、部活動の描写まで積み上げていて、作品全体に厚みがありました。
力技で盛り上げるというより、じわじわ足元を固めていくタイプの物語ですね。
黒い岩の怪談が、ただの怖い噂で終わらず、登場人物たちの恋や選択にどう絡んでいくのか。
その先を読ませる引きがありました。
丁寧に作られた、怪談と純愛の重なりが印象に残る作品です。
主人公の健斗と、バレー部でレギュラーを目指す幼馴染の凛音。
ある日、健斗は偶然にも凛音の胸元を覗き見てしまい、それ以来彼女を強く意識するようになります。
そんな中、凛音が部活中にケガをして入院することに。
心配した健斗はお見舞いに行き、神社で彼女の回復を祈願します。
そして無事に退院した凛音から「学校まで自転車に乗せてって」と頼まれ、松葉杖の彼女を後ろに乗せて、二人乗りで登校する甘酸っぱい日々が始まります。
本作の最大の魅力は、幼馴染という近くて遠い関係から、思いがけないハプニングやケガをきっかけに少しずつ物理的・心理的な距離が縮まっていく初々しい恋愛模様です!
偶然のラッキースケベに激しくドギマギする健斗のピュアな反応や、文句を言いながらも自転車で凛音を送迎し、背中越しに彼女の温もりを感じてドキドキする姿がとても等身大で微笑ましいです。
クラスメイトたちのお節介な冷やかしや、ケガの完治を願う神社の「黒い岩」でのエピソードなど、日常の中に散りばめられた出来事が物語を優しく彩ります。
不器用な幼馴染同士の、じれったくも温かい青春ラブコメを楽しみたい方に全力でおすすめしたい作品です!