縞間さんの最新作です。いつもように、男女の機微を扱った短編ですが、今回は役割が逆!
大衆演芸の女座長浅路雪之丞(男形)は、看板役者でも中村染太郎(女形)が舞台の途中でフケてしまい、ファンサービスをおざなりにしたことに腹を立て、明け方に戻ってきた染太郎を叱責しますが……。
「自惚れんじゃないよ!」と男形ばりにタンカを切る雪之丞に、染太郎は「おや?! 何をお言いかぇ?」と女形のしなを作っていなします。のれんに腕押し。粋でいなせな掛け合いが展開されます。
やがて、フケた理由が少しずつ明らかになっていき……最後は、二人の男女の情愛と役者のプロ根性が合いまった、実にカッコいいラストを迎えます。
2100字の小編ですが、必要な情報は過不足なく配置され、二人のかっこよさに最後まで一気に読まされる好編です。
3分で読めますよ。ぜひどうぞ!