閑話休題 勇者人気の不思議
とある日の朝食の時間。
「ソラスは勇者ブームを作った、転生したら…なんとかって本読んだことあるか?」
「転生したら伝説の勇者のライバルだった件、略して、転ライのことですね。」
ソラスはすらすらとそういった。
その後、間を開けて、
「読んだこと……ありますよ。」
と、言葉を少し濁した。
実はソラスは転ライをすごく読んでいる。発売日に雑誌を買うほどだ。
ただ、目の前にいるカルヴァンは転ライによる勇者ブームの最大の被害者だった。
「この前ソラスが、小説での俺のイメージを『クール・圧がある・怖い』っていってただろ?」
「はい。」
「しかも、不機嫌そうだし、殺気飛ばしてるしで非常に不愛想。」
「そうですね。」
「どうして、そんなんで人気キャラなの?」
「……それはですね。対面の印象は最悪なんですけど、すごい美味しいポジションにいるんです。
主人公が死にそうな時に危険を冒してでも助けに来てくれたり、みんなが魔獣に苦戦し、倒せなくて絶望している時に登場して魔獣を瞬殺したり!」
ソラスの声のトーンがだんだんと上がっていく。
「まず、作中最強キャラというのもポイント高いです!
バトル物はみんな強い人が大好きですから。
そして、怖く一見嫌な奴だけど、実はいいやつというギャップがまたいいんですよ!!例えば五巻で明かされるんですけど、二巻で傷を負った仲間のエリカを激怒するシーンで怒っていたのは、エリカが死ぬかもしれないと本気で心配していたからだったんです。
いい人過ぎ!!
他にも十七巻の……」
食い気味な熱弁を振るうソラスをみてカルヴァンは察した。
ソラスも立場が違ったらきっと、勇者ファンとして自分を追っかけてくる側だったのだろうことを。
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