第17話 ギャルちゃんは触れ合いたい

ようやく日曜日になった

楓花ちゃんとのデートの日だ!

ばっちりお洒落して準備整えて集合場所へ!


30分前には着いたけど

すでに楓花ちゃんは着いていて

そわそわウロウロと落ち着かない様子でいた

なんだか面白くて気づかれないようにその姿を見守っていると

ようやく私がいることに気づいて

顔真っ赤で私のほっぺたをむにっとつねる


「来てるなら言え!」


『痛いよぉ〜ごめんって〜』


頬が赤くなるまでつねられたあと

「んっ」と手を差し出される

なんの手だろう…?と思いつつ

『えっとぉ…じゃあ〜こっちはチョキ〜』


「いや、ジャンケンじゃないし。手、繋ぐよ」


あ、あー!手繋いで欲しかったの!

私はすぐにギュッと手を握る

また楓花ちゃんの顔が赤くなるけど

「目離したらすぐどっか行きそーだしね」とそっぽ向かれた

典型的なツンデレすぎて可愛い


…しれっと恋人繋ぎにしてみたり


「ひゃっ!ちょい!なんで恋人繋ぎ!?」


『だってデートでしょ?』


「こんの……人の気持ちも知らないで……」


照れてる楓花ちゃん見るだけで

今週ご飯いらないくらい満腹気分だ

ごちそうさまです!!!


『ところで何処に行くの?』


「水族館。あんた、たまに本で読んでたから。気になってるのかなって」


え、えー!水族館!!?

気になってたところだ!

てかここ田舎なのに遊園地といい意外と充実してるね!?

『読んでるの覚えててくれたんだ!楽しみ!』

とルンルンスキップでバスに乗った


バスに乗ってる間も

隣同士で座って恋人繋ぎをやめない

どんなに抵抗されようとも!やめない!!!


「ちょっ、見てる人いるから…!」


『やーだー♡』


「言わなきゃ良かった……」


ようやく抵抗を諦めてくれて

水族館に着いた

田舎らしく、少し小さめの3階建てくらいの大きさだけど

中に入るとジンベイザメやピラルクなど大っきい魚もいた

おっきー!きれー!さいこーー!!


「ふっ、なんか、喋ってないのに、なんて思ってるか分かるくらいはしゃいでんね」


『だって凄いもん!図鑑で見た子達いっぱい!』


「はいはい、ほら、次クラゲだよ」


楓花ちゃんが指さした方向には

色とりどりのライトで着飾っているクラゲ達

小さいミズクラゲが沢山いて

雰囲気抜群。すごくロマンチックだ


『綺麗!かわいい!ロマンチック!!』


「ね。まじ綺麗」


綺麗、と言う割に

楓花ちゃんは見慣れてる様子だった

それと……なんか緊張してる?気がする

『もしかしてつまらない?』と聞いてみると


「あーそう見えた?下見しちゃったからね、そこはしくったわ」


『私のデートのために?嬉しい!』


「あんた、鈍感なくせにそのへんは気付くよね……ウザイ」


『えへへ〜でしょ〜?』


「……じゃあ、ここまでロマンチックなとこ来たらすること、分かる?」


『なぁに?』


「そこは鈍感なのかよ。ホントウケる」


楓花ちゃんの手が私の頬に触れる

一瞬またつねられる!?と思ったけど

優しく頬を撫でてくれて、すぐ警戒を解く

その手は少し震えてて

触れた肌から、ドキドキしてるのが伝わってきた


周りには少し人がいるのに

見られてるかもしれないという背徳感も

水色からピンク色に輝いたクラゲの雰囲気も背中を押してくれる


「ハーレムに関しては、今んとこ許すけど、最終的にはウチを選んでほしいから。そこんとこ、よろしくね」


唇が、私の頬に触れた

私はその言葉に、

心臓の高鳴りと、言葉の意味を理解したのと混ざって

何も返せなかったけど

楓花ちゃんは満足して

「ほら、デート、続きしよ?」

と優しい笑みを浮かべてくれた

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