第15話 人形さんは真っ先にデートをこなしたい

楓花ちゃんとデートをすることになって

ウッキウキで帰ってる最中

バックの中がモゾモゾして仁ちゃんが顔を出す


「貴様、わらわが寝てる間に好き勝手したのう」


『あ、もしかして増えたこと?それはその……相談せずに増やしてごめんね……』


「はぁ、貴様がそういう奴なのは理解しておるから、今更遅いか」


仁ちゃんはため息をついて

私の肩に乗る

え、まだ街中なのに、動いて大丈夫??


「わらわが真っ先にデートというものをしてやろう!」


え、仁ちゃんとデート!?……楽しそう!!!

仁ちゃんは楽しそうに私に行き方向を指示してくる

私もそのまま言われた通りに行ってみると

神社に着いた

夕方なのも相まってあまり人がいないけど

鳥居はおっきくて神聖な雰囲気をかんじる

ここ、霊的なものな仁ちゃんが入れるの?

と思ったけど、すんなり鳥居をくぐれた


「やはりここは変わっておらんな」


『ここ知ってるの?』


「言っておらんかったな。わらわはここ出身じゃ」


『えぇ!?ここで作られたの!?』


「そうじゃ、神主が神社に華を咲かせようと大量に作った人形の1人じゃ。もう千年前のことじゃがな」


そう言って神社を眺める仁ちゃんは

どこか寂しげだ

ほんの一瞬、私の脳裏に

燃え盛る火事の中神主さんが仁ちゃんを遠くへ逃がしている絵図が見えた

こ、これは一体……思い出の地に来たことで、少し仁ちゃんの過去が見えたのかな

私は周りを見渡して誰も見てないことを確認してから

仁ちゃんに抱きついて慰める


「どわぁ!やめんか!慰めて欲しくて言ったわけではない!」


あれ?違うの?

「ここでお願いをしにきたのじゃ!」

賽銭箱の前まで進むと

「貴様と、幽霊や楓花達のこと、そしてわらわとずっと一緒にいれるように……な。もうあんな思いはしとうない」


仁ちゃん……!

『私も願う!皆とずっと!ずっとずっと!仲良くしたい!』


「……そうじゃな」


お願いをし終え、縁結びのお守りもおそろで全員分買った

帰宅中、『仁ちゃんのこと、もっと知れてよかった!』と言うと


「貴様は相変わらずじゃな……ありがと、柊奈」


一瞬、頬に柔らかい感触がした

人形だけど、この感触が何なのかは何となくわかった

顔が火照るのを感じながら

『仁ちゃん!?なにしてんのー!?』

と慌ててしまう


「ふ。ふふん!さっさとしとかないと奪われそうじゃったからな!これは褒美じゃ!受け取っとけ!」


私は照れちゃったせいで

仁ちゃんは嬉しそうに私の頭の上に乗っかって

ずっと帰る最中「どうじゃ?ドキドキしたか!?」

とからかってきたのは言うまでもない

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