第13話 泥棒さんはからかいたい

琴音さんが本屋で働くようになってから数日

本屋の雰囲気はかなり明るくなって

常連さんも増えてきた気がする

影響力ってこんなに凄いんだなって思った


「ねえねえ、そういやさ、柊奈っちはこの前の幽霊とはどんな関係なの?」


幽霊さん?んー、一応お付き合いしてるって感じだけど

それって伝えていいものなのかな


『私の家に元々いた人で、今は仲良くなって同居してるんです』


「地縛霊と仲良くなるとかヤバ〜もしかして付き合ってたりするの?」


『ま、まあ一応……?』


「ガチ!?やっぱりそんな気がしたんだ〜!柊奈っちも隅に置けないね〜!」


なんだか琴音さんも一種のギャルみたいな感じで

陽気に話してくれることが多くなった

なんだか泥棒してるの嘘みたい


「幽霊って何の話?」


あ、やばい……

まだ楓花ちゃんには言ってないんだった

でも隠す必要ない……かな?


私が今住んでるところが事故物件で

そこで自殺した幽霊さんと仲良くなった

という話をしてあげた


「何それ怖……大丈夫なの……?」



『もう一緒に暮らして一ヶ月経つし、全然問題ないよ!』


「ふーーん……」


なんだか拗ねたような感じでそっぽを向く

どうしたんだろう、と思ってると

「あっれれ〜?もしかして自分だけ知らなくて仲間はずれとか思ったのかな〜?」


「違うし」


『ご、ごめんね!悪気はなかったんだよ!』


「怒ってないから……別に」


怒ってないとかいいながら機嫌直してくれない……

私は思わず楓花ちゃんにハグして

ごめんね〜という意思を込めて頭を撫でる


「ひあぁ!?ちょ!やめろ!ほんとに怒ってないってば!」


一瞬高い声が出た気もするけど

元気出たかな?


「いや〜この2人見てるだけでいる意味あるわ〜ほんとに」


ずっと琴音さんはニヤニヤしてて

『そんなに見てるの楽しい?』と聞いてみると

「ねねね、あたしもそのハーレム入れてよ!」


……?『なんでそうなるの??』


「なんか面白そーだしさ!いいじゃん一人増えたくらいなんともないって!」


「いやいや。ちょいまち、それはふつーにうちが許さん」


「なんで〜?あ、さては自分が入れてないから嫌がらせだなぁ?」


「ちがう!」


『楓花ちゃんも入りたいの?』


「え、いや、うちはその……」


顔を赤くしてモジモジしてるのを見て

思わず可愛い!と叫びたくなった

私は2人の手を取ると


『分かった!いいよ!!!』と承諾してあげた


かなりの時間の間が出来てから

「「いいの!!?」」と琴音さんまでビックリしてしまった

……あれ、違ったかな?

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