第5話 かしだしきろく

奈緒は必死に出口へ向かうが、入口はもう存在しない。

代わりに「貸出カウンター」に、彼女の名前が記された一冊の本が置かれていた。


『佐伯奈緒 貸出期限:なし』


貸出者の欄には、薄く“アサノ トショカン”と書かれていた。


声がした。


「ここは、“朝のまま”でいたい人の図書館なんです」


次の朝。図書館の職員が出勤すると、奈緒の姿はなかった。

だが、予約棚には一冊の新しい本が並んでいた。


タイトル:『アサノトショカンニテ』

著者:サエキナオ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る