世界をうたう

莉翠

色なき旋律

港街の酒場『だるてい

カウンターの隅でリュートを抱え

めしいたエルフの詩人がひとり爪弾く歌



***


世界は目に見えない色でほどかれていく


空を渡り旅する鳥の唄

森を吹き抜ける葉擦れのささやき


草地に揺れる花は雲へと指を伸ばし

焚き火はやわらかく爆ぜて

温もりの行方を指し示す


港を発つ船のさきでは

うしおに濡れる旅人の胸で

まだ見ぬ地への不安と憧れが

同じ音で脈打っている


色なき色をみながら

巡りめぐりて旋律となり

世界はまた自らを語りはじめる


わたしはいったいどうすれば

この美しさを言葉に託しきれるだろう


せめてそのほんの一端をでも

この身に留めておきたくて

今日もわたしはそっと弦を



***


Melody of the Colorless - 色なき旋律

https://suno.com/s/7VUF4QEmAWX1HBKx


詩人が歌ってたら嫁が乱入してきたバージョン

https://suno.com/s/kGoNqhj60wKPdVLe

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