未完成ノート

@fu__ka

第1話

気づいたらそこは、物で溢れていた。

 ただの物じゃなく、大事なものがボロボロになって読み返せないようになっていた。

 あの時君がみたノートは、どこかで溶けてしまったよ。

 おかげで頭は真っ白になってしまったみたいだ。

 ついでに息まで吸っても吸っても足りなくなったんだ。

 気づいたらそこは、水分で少し重くなっていた。大事なものに色付いているのに、

拭き取ることすらできないようになっていた。

 あの時君がみた涙は、まだまだ甘かったみたいだよ。

おかげで上着はしょっぱくなってしまったみたいだ。

ついでに足まで摩っても摩っても痛いまんまになったんだ。

 なかったはずの事に少しびっくりしちゃって

壊れてしまった私に、迷う暇なんてなくて

誰かの声を聞くたびに、聞こえないフリをしたくて

いつも通りなんて言葉は知らなかったことにしよう。そんな日々でさえ、また君に助けられてしまった。

 朝も昼も夜もわかんなくなって、逃げようにもそんな場所なくて、ただ一つの灯りをフォーカスして、突き進んでゆく。出会ってなかった自分に少しびっくりしちゃって、スマホも捨てた私に、迷う暇なんてなくて。秒針の残響を聴くたびに 聞こえないふりをしたくて、後悔なんて言葉は、知らなかったことにしよう。

 そんな日々でさえ、また君に助けられてしまった。

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