黒雨は止む事を知らず
蠱毒 暦
無題 希求
放課後。◾️◾️部の活動を終え、◾️学校の昇降口で何度目か分からないため息をつく。
◾️◾️くんと一緒に帰りたかったなぁ…って、何考えてるの◾️!?そんな偶然、ある訳ないのに。
濡れて帰るのは制服が透けたりして嫌だけど…明日は土曜日だしこの際、仕方ないよね。
覚悟を決めた◾️は昇降口から出て、校門に向か
「……ぇ」
ブツンッ
……
…
夜 キラキラ輝く都市 暖かそうな街灯
忙しなく動く大人達
仮装してる子供 漂う甘いお菓子の香り
皆 仲良くしてる 眩しいノ
冷たい腐死にはない温もりがあるノ
でも大丈夫なノ
今日はハロウィン お菓子を持ってきたから
きっと仲良く出来るノ
緊張するノ…でもきっと成功するノ
あっ 子供がこっちを見た
腐死に気づいたノ
————!!!
大人達がやって来た
何か叫んでて…子供達は怯えてる
早く 腐死に敵意はないって伝えないとなノ!
「お」
撃たれた 柔らかい腐死の胸に穴が空いたノ
どうして ねえねえねえねえ…どうしてなノ?
お話すら させてくれないノ?
「なんだ、そ」
痛いノ
斬られた 柔らかい腐死の両腕を斬られたノ
お菓子が入った籠が落ちたノ
「く、くるな、怪物」
痛いノ
刺された 柔らかい腐死の両足が壊れたノ
「いやぁぁぁぁぁ———!!!」
痛いノ
反撃したくないノ やめて欲しいノ
逃げて欲しいノ 腐死に近づかないで欲しいノ
「……?」
でもでもでもでも あれ…なんで?
腐死は何やってるノ?
腐死の近くに来ると
植物 動物 人間…生きてるモノ
全部ぜーんぶ 腐って死んじゃう
ほら もう誰もいなくなっちゃった
……
夜 キラキラ輝く都市 暖かそうな街灯 忙しなく動く大人達
仮装してる子供 漂う甘いお菓子の香り
皆 仲良くしてる 眩しいノ
冷たい腐死にはない温もりがあるノ
でも大丈夫なノ
今日はハロウィン お菓子を持ってきたから
きっと仲良く出来るノ
緊張するノ…でもきっと成功するノ
勇気を出して 広場にいた子供に
声を かけてみるノ
「お菓」
「ふぇあぼごぼぼっ…!?!?」
近くに寄ったせいで 溶けちゃったノ
周りの子供達が悲鳴をあげて逃げていくノ
大人達がやって来て 腐死に何かを浴びせたノ
何かが投げ込まれたノ
何だか全身がポカポカして暖かいノ
でも…焦げ臭いのは苦手なノ
あっ……持ってたお菓子が 燃えちゃったノ!?
「コイツ、まだ動っ!?」
「きゃぁぁあ———!!!!」
おっ お菓子を手に入れないとなノ
腐死はお金は持ってない…けど
ハロウィン限定で お菓子を貰える呪文なら
知ってるノ!
「トリック・オア・トリートなノ♪」
「ごっ」
「お、お父さん!?」
「ママぁ———!!!」
歓声が聞こえるノ きっと喜んでるノ
どんどんどんどん お菓子を回収したら
お菓子を回収した大人も 用済みなノ
子供達にお菓子を配るノ!
「う…ぐぷっ」
「……??」
え あれ?あれあれあれあれ
腐死は何やってるノ?
手に入れたお菓子も腐死が持ったら全部 ぜーんぶ 腐るから…渡せないノ ひと口 食べたら お腹が破裂して死んじゃうノ
ほら もう誰もいなくなっちゃった
……
キラキラ輝く都市…から離れた山奥 月明かりもない 曇った夜空の下に腐死はいた
「………???」
今日もハロウィン 明日も 明後日も 未来永劫 腐死がそう思ってる限り 子供にお菓子を配り歩いて人間達と仲良く出来る日
なのにどうして 足が動かないノ?
おかしい おかしい おかしいノ
ううん 腐死は知っちゃったノ
———腐死に耐性がある人間の存在を
「鑢…やすりぃ。」
洞窟で出会った 黒髪黒目の不思議な青年の姿が脳裏によぎる
お城でお別れして以降…何度も探しても 探しても探しても探しても探しても探しても探しても探しても探しても探しても探しても探しても探しても探しても探しても探しても探しても探しても探しても探しても探しても探しても探しても探しても探しても探しても探しても探しても……!全く見つからないノ
色んな異世界を渡り歩いたけど 鑢以外、誰もっ…耐性を持ってなかった
腐死とある程度 お話が出来た『剪定者』の裏切り者…『女帝』も もう死んじゃった
大 大 大好きだった◾️◾️くんも
腐死の手で…?
「誰…なノ?」
と と…とにかく腐死はもう 1人ぼっちだ
穴なんてないのに ぽっかりと…穴が空いちゃって そこから腐死の腐った臓物が際限なくこぼれ落ちてるみたいで
「ぅ…うぅ…うううぅぅぅ」
ずっと ずっと ずうぅぅと!!!
痛いノ 苦しいノ 辛いノっ!!!!
腐死はただ…笑い合ったり 時には怒ったり 泣いたり 一緒に悩みを解決したりしたい
皆と…人間達と 仲良くしたいだけ…なノに
そんな些細なコトすら出来ないノ?腐死が『悲人』だから?無意識の内に細菌とかウィルスを撒き散らす『怪物』だから?
分からない……腐死は分からないノ
「………」
散々泣いて 泣き喚いて 環境を汚染させてしまった後…腐った切り株から立ち上がり キラキラ輝く都市の方向へ ゆっくりと歩き出す
腐ったお菓子を入れた
今にも壊れそうな腐りかけの籠を片手に
ずっと ずっと前に 何処かで落とし 無くしてしまった『◾️』を見つけるまで…否
了
黒雨は止む事を知らず 蠱毒 暦 @yamayama18
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