第8章:新しい始まり
第8章:新しい始まり
「この村を離れるつもりはないのか?」咲は朝の光を浴びながら、陸に問いかけた。二人は翌日、戦いが終わった後、平穏を取り戻した村の広場で一緒に歩いていた。
陸は少し黙ってから、ゆっくりと答える。「この村が、俺にとっての家だ。君と一緒にいられるなら、どこでも構わない。」
咲は微笑んだ。戦いの後、村の人々は再び平和な日々を取り戻し、陸が狼の力を封じたことで、彼の存在は神聖視されるようになった。村人たちは、彼を「守り神」として讃えるようになり、咲と陸の間に芽生えた愛は、村全体の希望の象徴となった。
でも、咲はそのまま幸せな日々が続くとは思えなかった。伝説に登場した「狼の神」の力は、いつか再び解き放たれることになるのではないかと、どこか心の中で感じていた。陸もまた、そんな不安を抱えていた。
「もし、再び狼の力が解き放たれたら…」咲は少し怖そうに言った。
陸は彼女を見つめ、優しく微笑んだ。「その時は、また一緒に戦えばいいさ。」
しかし、咲はそれだけでは納得できなかった。「でも、あなたが危険な目に遭うのは嫌だ。あなたが傷つくのを見るのは、耐えられない。」
その言葉に、陸は手を伸ばし、咲の髪をそっと撫でた。「君が言う通りだ。でも、俺は守りたいんだ。君も、村も。」
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