第5章:目覚め
第5章:目覚め
ある晩、村を守るための「狼の神」の力が目覚める時がついに訪れる。村の周辺で異変が起き、森の中で奇怪な音が響き始めた。それは、長年封じられていた力が再び解き放たれる兆しであり、村を危機から守るためには陸がその力を使わなければならない。
咲はその晩もまた、いつものように星を眺めながら過ごしていたが、ふとその夜の静けさが異常であることに気づく。ふと見上げると、陸が森の中で立っているのを見つける。
「陸!」咲は急いで駆け寄る。
「来るな…。」陸は冷たく振り払う。「これから、俺が変わるんだ。君には関わらせたくない。」
だが、咲はその言葉を無視してさらに近づく。「あなたが変わるって…それはどういうこと?私は、あなたを失いたくない!」
その時、陸の体が揺れ始め、彼の周りに青白い光が灯る。その光は、まるで古の神話のように、周囲を包み込んでいく。陸の目は光を放ち、耳には獣のような鋭さが宿り、体が少しずつ人間の形を超えていく。
咲は目の前で起こる奇跡を恐れつつも、陸を見守るしかなかった。
「ごめん…咲。」陸の声は低く、かすれたように響いた。「俺は、もう人間じゃない。ただの狼にならなければならない。」
その言葉を聞いた瞬間、咲の心は決断を迫られた。彼を守りたいという強い思いが溢れ、咲はその場に立ちすくんだまま、陸に向かって叫ぶ。
「あなたが狼でも、私はあなたを好きでいる!だから、私と一緒にいて!」
その言葉が、陸の心に響いた。青白い光が一瞬、強く輝き、その後、静けさが戻った。陸の体は変化を止め、再び人間の姿に戻ったが、彼の目には涙が浮かんでいた。
「咲…お前は、こんなにも俺を…」陸の声は震えていた。
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