教育虐待の亜種
夜虹
教育虐待の亜種
教育虐待という言葉が一般的に知られるようになった。
私の認識では、親が子どもへ教育を強制することを指す言葉で
子どもの人権や意思を無視して、親が子どもを支配するケース多いと感じている。
では、これはどうだろう?
子どもが将来の進路を考える以前に、
「あなたは、高校を出たら就職か短大なら行ってもいい」
これをずっと言われてきたとしたら?
子どもが将来どのような道へ進もうかなどと子ども自身に考える余地を与えない。
親は自分が必要だと思わないものへは一切お金を出さない。
子どもが勉強したくとも、親は勉強して大学に行かれてはお金がかかるから
学校で必要な教科書は買い与えても、参考書を買うお金は渋って一切出さない。
何かにつけ「金食い虫」といって子どもに罪悪感を植え付ける。
私は、高校三年生の夏休みだけ自分の貯めたお金で予備校の夏期講習へ通った。
私が出せるお金に限りがあるから、英語だけ。
講習がない日でも予備校の自習室を使えたのはありがたかった。
短大へ進む以外の道は考えもしなかった。奨学金制度があるのは知っていたが
調べることすらしなかった。私は大学へ行ってはいけないと思い込んでいたから。
どんな職業に就きたいか、どんなことを学びたいかを考えなかったのは私の責任だ。
親に都合よく狭められた選択肢から進路を選んでいるのに、自分で自由に選んでいると勘違いしていた。
それどころか、「短大へ行くお金を出してもらって申し訳ない」とすら思っていた。
親は子どもの人生を支配して、都合よくコントロールするのだ。
大人になった今も尚、二次的に傷つけられる。
「あなたを大学へ行かせればよかったかな。」
私のことを案じて言った言葉ではない。
大卒女性の方が今は社会で活躍しているとの思い込みに加えて
その方が、親は自分の付加価値が上がると考えたからであろう。
私の人生の選択をはあなたが選択する権利はない。
私の人生の選択は、私に権利があるのだ。
子どもが自由に考え、発言する権利を奪い、子どもの人生を親の都合よくコントロールする
罪は非常に重い。
それによって、大人になっても苦しんでいる人はどのくらいいるのだろう?
私は、次の言葉で親とやっと決別する決心がついた。
「あなたが健康でいることが親孝行だ。」
一見、私の健康を願ってくれているように感じる言葉。
しかし、「私の健康=親孝行」と結び付けている。
ちなみに、私には病気の姉がいる。
私の健康は、私のためのもの。
あなたのものではない。
無自覚な毒親ほど天才的センスで至る場面で子どもに罪悪感を植え付けてくる。
今も尚、私は親がそこにいなくとも親から刷り込まれた言葉を繰り返し思い出す。
「親に向かって偉そうに」「あんたそんなことで泣いてどうするの?」
「あんたには腹が立っている。」決まって頭を狙って殴ってくる。
言い返せば更にエスカレートした暴力が加えられる。
また、私の夫に自分のことを理解してもらえない苛立ちから
夫への言葉が荒くなり、「なぜわからないの?」と言ったら
夫から「親にわかってもらえないのは私の伝え方が悪いのでは?」
と心無い言葉をかけられる。彼はただ、責められていると感じたから、なんとなく言い返しただけのつもりかもしれないが。
健全な親子関係にある人は、機能不全家族を想像することが難しいようだ。
どうすれば、他人の言葉で傷つかずに済むのだろう。
私の思いを理解してほしい、共感してほしいという希望は届かないとしても。
誰かの発言で昔の事柄とつなげてしまい、苦しくなることから逃れたいだけなのだ。
私はただ、今を生きていきたい。
苦しんでいる人が、自分の人生を取り戻せますように。
誰しも、自分のために幸せになってほしい。
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