一軒の屋台、立て看板には「シルクマップ 五百円」の文字。様々な色の布製品を商う中、縦横30㎝程の布一枚になぜか目を引かれる。そこには刺繍とシンプルなボタンが縫い付けられていて、ボタン部分の糸を引くと糸がほどけて布面に文字が浮かび上がる布仕掛けの冒険マップだった。
現実世界でRPGゲームの常識を超えたリアルを体感する。そんな非日常の入り口が冒険心をくすぐる仕掛けで待っている展開を誰が予想できようか。
ときおり垣間見える記憶の断片が織り交ぜられ、どこか懐かしささえ感じられる作風に好感が持てる。日常にそんな一面があれば、今日と言う日もわるくないとしみじみ感じれられる良作。