これも多分、誰にも読まれていない作品だと思います。
もしかしたら、ブラウザバックした人はいらっしゃるかもしれません。
辛かったです。読むの。
でも読んで欲しい。
ただこれは感想文ではなくレビューなので、しっかりレビューします。
心の闇と絆の光を繊細に描いたこの作品は、兄・陽斗と弟・真昼の視点が交錯しながら、家族という名の呪縛と希望を浮かび上がらせてくる、そんな物語です。
穏やかな日常描写から始まり、過去のトラウマと未解決の痛みが徐々に読者を飲み込んでいく構成は、圧倒的な没入感をもたらします。
単純に、とっても上手だなぁって思いました。
ところが、弟に父の面影を重ねてしまう陽斗の苦悩は痛ましく、しかも非常にリアルです。読んでいて、胸が苦しくなってしまうほどでした。
一方で、真昼の無垢で切実な愛情は、読者に救いの感情をもたらす、当初は、そのような目的で書かれたのではないかと思います。
ところが、愛したいのに愛せない。信じたいのに怖い。その葛藤が両者にあることが徐々に明かされます。
丁寧な心理描写は非常に見事です。
なんと言えばいいのか。全体的にこの物語を総括するなら、光と闇が紙一重で共存する物語、でしょうか。
読者に問いを投げかける、優しくも苦しい物語だと思います。
とても苦しいけど、読んで欲しいです。