第23話 テイル、出撃 その二

「……ほう、このようになっていたのですか……初めて見ましたよ」


「それはそうでしょう。この、こんな規模の兵器庫はめったにありませんよ?」


「……ふむ、さっきの私の言葉を、トーブル隊長はそのように判断するのか。まあ普通の判断だと言えるかな?」


「……え? ダン先生? それは、どういう意味の言葉で……?」


「ふふ、まあ良いじゃないか。詳しい話は今の苦境を乗り越えた後で聞かせるから、な?」


「……むぅ……」


テイルの魔法で点けられた明かりでようやく施設の全貌を把握出来たダン先生とトーブル隊長がそのように会話をしていく。

テイルはそんな二人をそのままにして先に進むのか、それとも声を掛けてから進むのかを迷っていた。

するとその時、トーブル隊長が自身を追及してくるのを諦めた為に自由になったダン先生が逆にテイルへ声を掛けてきたのである。


「……う~ん……どうしようかなぁ……」


「……姫様、どうかされましたか?」


「え? ああ、ダン先生。いえ、ダン先生とトーブル隊長をそのままにしておくか、それとも声を掛けるかで悩んでいたんですよ。でもダン先生が私に話し掛けてきたという事は、二人の話し合いは終わったのですね?」


「ええ、なんとか。少し苦労はしましたけど、ね」


「なるほど、わかりました。それでは先に進みましょうか、ダン先生、トーブル隊長?」


「ええ、そうしましょう、姫様」


「………わかりました」


テイルの提案を聞いたダン先生は普通に応じていき、トーブル隊長は不満そうな表情を隠そうとせずに応じていく。

そんな二人を引き連れて次の部屋に入っていったテイルは、その二つ目の部屋に入った次の瞬間、足を止めていった。


「……あ」


「……うん? 姫様?」


「どうしたんですか? 急に足を止めて……?」


「ようやく見つけましたよ。あれを」


「あれ? ……あ」


「え? ……うん!? マ、マシンアーマノイド!? そ、それも初めて見る型の機体だ!!」


「……あれが、そうですか……」


「ええ、あれです」


トーブル隊長驚愕し、ダン先生が落ち着いてテイルに尋ね、ようやく見つけたお目当てのマシンアーマノイドにテイルが安堵の笑みを見せていく。

そうして三人はそのマシンアーマノイドに近付いていき、その足元まで近付いたところで、テイルが懐かしそうにマシンアーマノイドを撫でていった。


「……今まで待たせてしまってごめんなさい、ワイバーン。すぐに動けるようにしてあげるからね?」


テイルがワイバーンと呼んで手を触れているマシンアーマノイド。

それは三年前、この場所で建造されたテイル専用の機体であった。

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