第13話 目覚めの刻 その三

「駄目でしょうか? 必ず無事に生きて帰ってきますから……」


テイルはまだ自身の言葉を受け入れる事に難色を示している少年達へ、このようにもう一度お願いをしていった。

この追加の質問に対して少年達は、お互いに顔を見合わせて少しだけ話し合いを始めていく。


「……ど、どうしようか……?」


「……う、う~ん……」


「……でも、早く決めないと、ここが壊されちゃうし……」


「……でもそれだと、テイルちゃんをここから追い出すみたいな事になってしまうんだけど……」


「……私をここから追い出す形になることに罪悪感があるのなら、そんな事は全然気にしないでもらって大丈夫ですよ?」


少年達が話し合いをしている様子を見つめていたテイルが、このように話して話し合いに参加していった。

これに少年達がびっくりしながら反応して、テイルとの会話をし始める。


「……え?」


「それは、一体どういう事ですか……?」


「あなた達に追い出されるまでもなく、外の敵部隊をやっつける為に私はシェルターから出ていくつもりですからね」


「え? それじゃあ……?」


「はい。最悪の場合、あなた達が私のお願いを聞いてもらえていない状態でも私はシェルターの外に出ていきます」


「……う……」


「……うぅ……」


「でも私としては、あなた達に見送られる形でこのシェルターから出ていきたいんです……だから、私のお願いを聞いてください。駄目でしょうか?」


「……ふぅ、わかりました……」


「テイルちゃんのお願い、聞く事にします」


「ありがとうございます、二人共」


自身のお願いを聞くと言ってくれた少年達に、テイルが満面の笑顔で感謝の言葉を伝えていく。

そんなテイルに、少年達がテイルのお願いである、いってきますとお帰りなさいをし始めていった。


「……はい、テイルちゃん」


「それじゃあテイルちゃん、いってらっしゃい」


「ありがとうございます。それではいってきます!」


「……いってらっしゃい!」


「はい! ダン先生、行きましょう!」


「わかりました。行きましょう、姫様」


少年達といってきます、いってらっしゃいの挨拶を終わらせたテイルが、ダン先生に先へ進もうと声を掛けていく。

これにダン先生も快諾してシェルターの一角へと進もうとしたその時、ようやく硬直状態から立ち直ったトーブル隊長が声を掛けてきた。


「……ぷあっ!? はあ、ようやく動けるようになったぞ!」


「……あら、トーブル隊長。どうもお疲れ様です」


「……あ、ああ、姫様……いや、見た目はどう見ても姫様とは別人でないですか!」


トーブルはテイルを指差しながらそのように喚いていく。

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