お互いに気持ちが通じている姫と騎士。ふたりは淡い恋心を抱いたまま結ばれることなく生涯を終えるが…転生した現代で運命は二人を再会させてくれた。
…お互いが男子高校生として。
TSタグのついた作品を読むのは初めてだったのですが…見事に新たな扉を開いてもらった気分です。
これはジャンルが〜というより、作者様のなせる演出や構成の技なのかなと思うわけでして。
転生前の姫と騎士は、やはり結ばれなかったという以上悲恋には間違いないのですが、一話ごとに姫騎士パートのじれ恋と切なさが見られてこれがもう尊いのですよ…。
その上で、男子高校生となった二人のじれ恋が見れるわけなのですが、こっちはこっちで濃いキャラたちに囲まれギャグパートもありとめちゃくちゃ面白い。
もちろん転生前と後での葛藤やじれったさもあり、悲恋だったからこその幸福もあり…とにかくどうぞ末永くお幸せにと見守りたくなる新感覚ロマンスとなっております。
TS初心者の方も、ロマンス好きの方も、ぜひ一緒にふたりを見守っていただきたいです。
とても丁寧に書かれている「ロマンス・BL」作品です。
なぜなら主人公たちの関係性に関して、前世からの因縁と現世での恋を通じて、姫・騎士が男子高校生として出会うという設定が素晴らしいからです。 身体ではなく、魂レベルで惹かれ合う過程はとても美しいものです。
私は作中、智哉が強引に迫る「攻め」の側だと信じ込んでいました。 だけど、彼の内面が明かされたとき、強気な言動の裏に隠されていた健気さと臆病さなどの描写に、彼のキャラクターアークとしての成長または変化を感じました。
スプーンを持った手を震わせる描写に、彼の全てが詰まっていると思います。 これは「王子様」の皮を被った「お姫様」という初期のプロットがあったからこそ、できたのではないかと考えています。
もう一点、私が深く納得したのは、前世の悲劇が現世で回収される構造の必然性です。 かつて身分という檻に囚われ、沈黙のまま死んでいったふたりが、今度は「役割」という檻を自ら破って言葉を交わす。 この対比があるからこそ、現行(22話まで)のOOOO(ネタバレ防止)が単なる物語の一区切りではなく、積み重ねの果てに辿り着いた「結果」として納得できました。
最後に、水族館の薄暗い通路で、なんとなく小指同士を絡めるあの場面は、ロマンスものの王道でありながら破壊力は抜群です。 なぜなら古典文学含めて歴史が証明しているからです。 奇をてらわず、王道をしっかりと活かすという点は素晴らしかったです。
作者曰く、物語はまだ第一部とのこと。彼らがようやく手にした「今度こそ」の幸福がどう変わっていくか、最後まで追いたいと思います。