通知音

第1話

 ピロン、ピロン


「ん?誰からだ?」


 視界の端に目をやると、「アップデートのお知らせ」と「『たるたるそーす』が救助を求めています」という文が光っていた。


 はあ、また『たるたる』か⋯⋯あいつすぐ死ぬからなぁ。

 このVRMMORPG「DEAD・OR・ALIVE」、略してDOAは死んだら誰かに助けてもらうまで再ログイン不可という、廃人向けの鬼畜ゲームなのだ。その分、命の危険がない仕事と命を懸けてする仕事がはっきりわかれている訳だが。

『たるたる』がこのゲームをやらないかと誘ってきた側なのだが、あいつは基本エンジョイ勢だからな。しかも、戦闘を好むから死んででも危険がある方のクエストをやる。

 俺が廃人側の人間じゃなきゃあいつは今頃引退してただろう。


「まああいつとは腐れ縁だし、助けてやるか⋯⋯『今から助けに行くからちょっと待ってろ』っと⋯⋯送信」


 空中に出したキーボードを叩き、メールを送り付ける。

 さて、今度は何を奢ってもらうかな。


 そうして俺は『たるたる』のいる第18地区へと歩き始めた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る