第3話:愛という名の欲望

1.夢と再会のざわめき

神奈川県の海沿いの町。朝、須藤翔太(14歳、中学2年生)は、汗だくでベッドから飛び起きる。


「うわっ…!」


心臓がバクバクと鳴り、胸を押さえながら顔を真っ赤にする。夢の中で、いとこの星野玲(17歳)と見つめ合い、「翔ちゃん…」「玲…」と囁き合い、唇が触れ合う寸前だった。


あの「偽装デート」以来、玲の眩しい笑顔や甘い声が、翔太の頭から離れない。


「俺…一体どうしちゃったんだよ…」と呟き、ベッドに倒れ込む。胸を押さえる翔太の心は、玲への複雑な感情で揺れている。


そこへ、インターホンが鳴り、玄関に現れたのはキラキラなギャル系男の娘の星野玲。


ホワイトのシフォンオフショルダーブラウス、ピンクの花柄ミニスカート、ストラップサンダルにミラーネイル、ハーフアップツインテールにリボンクリップの髪が揺れ、グリッターライナーにピーチコーラルのチークとグロスたっぷりのリップという姿。


「翔ちゃん!春休みも残りあと少しだし、遊びにきたよ~!」とウインク。


翔太は「う、玲!? 急に来るなよ!」と動揺しつつ、(夢の続きみたいだ…。ヤバい、めっちゃきれい…)と心臓が跳ねる。


翔太の母・彩子が「玲ちゃん、ちょうどいいわ! 私、用事で出かけるから、翔太と留守番お願いね〜」と微笑む。


父も仕事で不在のため、アパートは二人きり。翔太は「え!母さん、ちょっと!」と叫ぶが、彩子は「仲良くね〜!」と言いながら出て行く。


玲は「ふふ、翔ちゃんと二人きり~! めっちゃ楽しそ~!」と手を叩き、翔太は(ヤバい…。玲のキラキラ…今日、なんかいつもより強烈だ…)と息を呑む。



2.ゲーム対決の喧騒

朝食後、翔太はソファにもたれながら一息つき、落ち着こうとする。


すると玲が冷凍庫からアイスを取り出し、「デザート見つけた~!」と無邪気に笑う。だが、前のめりになった瞬間、ミニスカートから下着がチラリ。


翔太は「ちょっ!玲! 見えてるって!」と顔を赤らめ、クッションで目を覆う。


玲はくるりと振り返り「え~、翔ちゃんのエッチ~!♡ どこ見てたの~?」」と小悪魔な笑みを浮かべるが、その瞳には試すような光がある。


翔太は「う、うるさい! 見えてたんだから仕方ねぇだろ!」とムキになり、(なんでこんな無防備なんだよ…! 心臓がもたねぇ…!)と内心パニック。


(このままだとまた玲に主導権握られる…! なんとかしなきゃ!)と決意した翔太は、得意のテレビゲームで逆転を狙う。


「よし、玲、ゲームで勝負だ! マリカーで3本先取、負けた方が昼メシおごる!いいな!」と提案。


玲は「いいよ~! 翔ちゃん、負けないよ~!」とコントローラーを握る。


初戦は普段からゲームに慣れている翔太が圧勝し、「よし、楽勝!」とガッツポーズ。


だが、2戦目で玲が「翔ちゃん、隙あり~!」と脇腹をくすぐる。翔太は「うわ、ははっ!止めろ!」と笑い転げ、コントローラーを落とす隙に玲が逆転勝利。


「やった〜!1勝目~!」と玲がはしゃぐ。翔太は「卑怯だぞ!」と叫びつつ、3戦目に突入。


翔太は仕返しに玲の脇腹をツンツンと指で突く。「ほら、仕返しだ!」と意気込むが、玲が「あっ…はあぁぁん♡」と色っぽい声を漏らし、翔太は「えぇぇぇぇ!?」と仰天。


「な、なんつー声出してんだよ!?」と翔太が顔を真っ赤に。玲は「ふふ、翔ちゃん、ツンツン上手~!」とニヤリ。動揺した翔太は集中を乱し、玲が2勝目。


「やった~! 2勝目~!」と玲がガッツポーズ。翔太は「物理攻撃は禁止!」と叫ぶ。


玲は「え~? じゃあ、これならどう?」と上着を脱ぎ始め、「なーんか暑くなっちゃったね~、翔ちゃん?♡」とインナーの襟元をパタパタ。


スカートを軽く持ち上げ、「スカートの中も蒸れちゃって~」と太ももがチラリ。翔太は「ちょ、色仕掛けか!?」と叫ぶが、ゲーム画面から目が離れ、玲が3勝目を奪う。


「やったぁ!勝った〜!!」と玲が跳ねる。翔太は「くそっ!きたねーぞ!」と叫ぶが、玲は「ごめんね、翔ちゃん♡ でも、勝負は勝負~!」と小悪魔な笑顔。


昼食時、翔太は「負けた俺がおごるから、メシでも食いに行くか…」と呟き、自分の部屋で軽く身支度を整えるが、リビングに戻ると玲がエプロン姿で冷蔵庫の残り物を使いテキパキと料理を始めている。


翔太は「あれ? メシ食いに行くはずじゃ…」と呟くが、「実は、最初から私が作るつもりだったんだ~!」と微笑む怜。翔太は戸惑いつつ、玲の慣れた料理の手際に見とれる。


完成したオムライスとサラダを食べ、翔太は「うまっ!? なんだこれ、めっちゃ美味いじゃん!」と驚く。


玲は「ふふ、翔ちゃんにこの上達ぶり、見せたかったんだよね~!」と笑う。翔太は(玲、こんな特技まで…! 女子力高すぎるだろ…)と感服しつつ、美味しさに夢中で平らげる。



3.秘密と近づく心

昼食後、玲が「翔ちゃんの部屋、見てみた~い!!」と目を輝かせる。翔太は「いいけど…余計なもん触るなよ!」と渋々ながら案内する。


玲は「わぁ、翔ちゃんの部屋、懐かしい~!」とキョロキョロ。壁にはアイドルのポスター、机には教科書やゲーム機、マンガなどが雑然と置かれている。


すると、玲が突然ベッドの下を覗き、ゴソゴソと何かを探し始める。


「やっぱり! こういうの、あるよね~!」と、玲がエロ本を掲げる。翔太は「うわぁぁぁああ!!」と絶叫し、顔が真っ赤に。


翔太が「そ、それ、先輩に押し付けられたやつで…!決して俺の物ってわけじゃ…」と弁解。


玲はパラパラめくり「ふ〜ん? 翔ちゃん、こういうの好みなの? ふふ、ギャル系多いじゃん~!」とニヤニヤ。


翔太は「ち、違う! 返せよ!」と叫びつつ、取り返そうと飛びかかり、玲と揉み合いに。もつれ合ってベッドに倒れ込み、翔太は玲を押し倒す形になり、時間が止まる。


玲の顔が翔太のすぐ目の前にある。長いまつ毛、ピンクのリップ、甘い香水の匂い。翔太は「う、うわ…」と心臓がバクバク。


玲も頬を赤らめ、ニヤリと笑い「ふ~ん、翔ちゃん大胆だね♡」と囁く。


翔太は「れ、玲が悪いんだからな! ちょっとかわいいからって、俺のことからかいやがって…!」と赤面しつつ呟く。


玲は「翔ちゃん、私のこと、女の子として見てくれてるんだ…。じゃあさ、キス…する度胸ある?」と潤んだ瞳でじっと見つめる。


翔太は「え!?」と固まり、「そ、それは…」と動揺。玲の「ほんとに女の子として見てるなら…できるでしょ?」という言葉に、「お、俺だって男だ! キスくらい、どうってことねえ!」とムキになり、玲の瞳を見つめる。


心臓の音がドクンドクンと響き、二人の顔が近づく。唇が触れそうになった瞬間、玄関で「ただいま~!」と彩子の声。


翔太はハッと我に返り、玲から飛び退き、「う、うわっ!」とベッドに倒れ込む。顔は真っ赤、息はゼーゼー。


玲は「ふふ、もうちょっとだったのに~♪」と笑い、立ち上がって翔太の耳元で「…続きはまた今度ね?」と囁き、部屋を出ていく。


翔太はベッドに座り込み(玲のやつ…! なんで俺、こんなドキドキしてんだよ…!)と胸を押さえる。


玲の翔太を見つめる顔と潤んだ瞳が頭から離れず、初めての恋心のような感情に戸惑う。



4.鼓動の結末

玲が身支度を整え、玄関で靴を履いている。手には綾子から渡された、お菓子のお土産の手提げ袋。翔太が現れ、意を決して玲に問いかける。


「玲…。お前、なんでいつもこうやって…俺をからかうんだよ…」と呟く。


玲は翔太をじっと見つめ「翔ちゃんが…いつも、私のことをちゃんと見てくれてるから…。翔ちゃんと居ると、『本当の自分で居ていいんだ』って思えて、つい嬉しくてからかっちゃうの」と潤んだ瞳で囁く。その声には、輝きの裏に隠された本音が滲む。


「昔、父さんに『男らしくしろ』って言われて…自分を隠してた。『女の子っぽい』っていじめっ子にバカにされた時も、翔ちゃんは私のこと守ってくれて…。私が今の姿になってからも、翔ちゃんは私のこと『輝いてる』って言ってくれて…」


翔太はハッとする。子どもの頃、泣きながら翔太の後ろに隠れた、玲を守ろうとした時の気持ちが、胸に蘇る。


「玲…。俺、お前のこと、昔から…その、特別だと思ってた。男とか女とか関係なく…。玲は、玲だから」


言葉に詰まりながら、翔太は本心を絞り出す。玲の目が潤み、「翔ちゃん…ありがとう。私の気持ち、翔ちゃんに届いてたんだね」と微笑む。


玲が翔太にそっと近づき、頬にキスをする。


「また来るね…」


玲は微笑みながら、玄関を後にする。翔太は呆然と立ち尽くしたまま、玲の後ろ姿を目に焼き付けていた。



5.エピローグ

夜、翔太は部屋でスマホを握り、玲からのLINEを眺める。


「今日、めっちゃ楽しかった! また遊ぼうね~!」


翔太は「ったく…あいつ、ほんとヤバいな…」と呟くが、笑みがこぼれる。玲の輝く笑顔と本音を思い出し、翔太は自問する。


(俺、玲のこと…ただのいとこじゃねぇって、思ってるのか?)


翔太は窓の外の星空を見つめる。


(玲…。俺、本当にお前のこと…)


一方、玲はアパートの鏡の前でメイクを落とす。キラキラの装いを脱ぎ、素顔を見つめる。玲は翔太の笑顔と、玲を見つめるまっすぐな瞳を思い浮かべる。


(翔ちゃん…。私、昔も今も、翔ちゃんのこと大好きだよ…)


玲の心には、翔太の純粋な言葉が温もりを灯す。過去の傷—父親の抑圧、周囲の嘲笑—を乗り越え、玲は自分を愛することの意味を少しずつ感じ始めていた。


一方、翔太は意を決して玲にLINEを送る。


「今日、楽しかったよ。…俺、昔みたいに…これからも玲と一緒にいたい。また会おうな」


玲からの返信は、シンプルで温かい。


「翔ちゃん、うれしい! 私も、昔みたいに…もっと近くで、一緒にいたいな」


海の見える町で、玲と翔太の春休みは、嘘やからかいを超えた本物の絆を紡いだ。玲の輝きは、翔太の心に愛の芽を植えつけ、翔太の純粋さは、玲に自分を愛する勇気を与えた。


二人の関係は、互いを深く理解する新たな一歩を踏み出す。幼い日の思い出と、これから訪れる幸せが、二人を繋ぎ続けるだろう。(おわり)

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玲の春休み(「鏡の向こうのボク」スピンオフ) あじ @eyonn

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