異世界でスローライフを!

@1WAdayo

第1話

その日、地球上の人類の大半が死んだ。


 西暦20XX年、地球に巨大な隕石が落ちてきた。隕石に付着していた未知のウイルスは混乱した人々を圧倒的な感染力により死に至らしめた。通称「COVID-00」と呼ばれたウイルスは以後、パンデミックとして歴史に名を刻むことになる...


 


 私、久倉小夜(ひさくらさよ)もあの大災害で命を落とした...はずだった。私は、目が覚めると真っ白で何もない空間にいた。


小夜「ここはどこなの?誰かいませんか!」


私が叫んだとき、目の前が眩しく光った。


???「はじめまして小夜さん。私は貴方がたの世界では神と呼ばれている存在です。」


小夜「か、か、神様!?神様がなぜこんなところに?」


神は間をおいて答えた。


神「ここは私が作り出した空間です。ここでは、お腹もすかなければ喉が渇くことがありません。」


小夜「...私はこれからどうすればよいのですか?」


神はニコリと笑って答えた。


神「貴方はあの日死んだ人の中から選ばれたため、景品として異世界で暮らす権利を差し上げます。」


小夜「え?」


小夜は突然の異世界宣言に戸惑いつつもドキドキしていた。ずっと憧れていた異世界に行ける日がついに来たのだから。


小夜「い、異世界!?そこは地球と変わらない環境ですか!?」


神「はい。そこには様々な種族の人達とモンスターがいます。」


小夜は一呼吸おいて状況を考えた。


小夜「会話はできるのですか?」


神「あちらの世界では、それぞれが話す言語とは別に共通語が存在します。今回はすべての言語がわかるチートスキルを特典としてつけておきました!」


小夜は困惑した。そもそも本当に神様かどうかもわからないし、知らない人しかいない異世界で生活できるという保証もない。それにいきなりチートスキルと言われても腑に落ちない。


神「...なるほど、信用できないのですか。まあ、当然でしょう。突然現れて神を自称する奴が信用されるはず無い。」


小夜「...ねえ、ちょっと待って。あなたは私の考えが読めるの!?」


神「ええ、神なのですから当然です。どうですか?信用できるでしょう?」


小夜「はい。異世界へはどうやって行くんですか?ひょっとして、転移とか!?」


神「転移も可能です。それでよろしいですか?」


小夜「はい!」


いよいよ小夜が異世界に行くとき、神は言った。


神「あ、そうそう。多言語チートの他にもう一つ別のチートも付けておいたのでそれはあちらの世界で確認してください。それでは、行ってらっしゃい!」


小夜「急に言わないで〜!」


  転移した小夜は草むらの上に着地した。


「ここはこの世界のどこら辺なんだろう...地図もないし...というかあの神様、確か最後に重要なこと言ってわよね。あーもう!なんで最後に大事なことを言うのかなぁ!」


小夜は神への怒りが募ってきたが異世界を楽しまなきゃならないと考え、すぐに冷静になった。


 ふぅ、もう一つチートスキルがあるって言ってたわよね...異世界に来てスキルの確認といったらこれよね。ステータスオープン!」



小夜がそう言うと、目の前にウィンドウが現れた。


「キターーー!!これよこれ!本当に異世界に来たんだ!」


小夜は嬉しくなり飛び跳ねた。横になっていると、突然おじいさんが話しかけてきた。


おじいさん「見かけない顔じゃな。どこの国のお人かな?こんな田舎村に用があるようには見えないが」


小夜「えっと、記憶喪失で気づいたらここに...」


おじいさん「...何か深い事情がありそうじゃな。わしについてくると良い。」


そういうと、おじいさんはスタスタと歩いていき私も彼について行った。


  しばらくすると、村が見えてきた。そこは、遠目で見てもあまり繁盛しているようには見えなかった。


おじいさん「ついたぞー。ここが、私達の村「ラピース村」だ。」


小夜「...失礼ですが、あまり活気がないように見えるのはなぜですか?」


おじいさん「実はな、ここ最近狼のような魔物が群れでこの村を襲撃するようになったんじゃよ。それで、村の精鋭たちを集めて討伐にいかせたんじゃがこのざまじゃ。」


小夜「そんな事があったんですか...」


おじいさん「申し遅れてすまんな。わしは、この村の村長をやっている「クロム」じゃ。」


小夜「私は、「小夜」と申します。クロムさん、よろしくお願いします。」


クロム「よろしくな、小夜さん。君の泊まる部屋はあそこじゃ。」


小夜「泊めさせてもらえるんですか!?ありがとうございます!」


クロム「いいんじゃよ。あの家も誰かに使われることが本望じゃろうからな。これも何かの縁ってわけじゃ。」


小夜「本当にありがとうございます!」


心からクロムと会ってよかったと思う小夜であった。

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