異世界ハーレムの間違ったターゲット~腐男子だけど女の子に囲まれてます!?~
@PikriYAnor
BLハーレムがほしいだけなのに、なんで女の子ばっかりなの!?
日本の小さな町で、竹田ヒロシという名のティーンエイジャーは、書店から家路につく。黒いビニール袋の中には、最新のBLコミックと、買ったばかりのアクションフィギュアが詰まっている。
その黒いビニール袋は、単なる守りではなく、中身に気づいたかもしれない人々の視線から彼の尊厳を守る盾でもある。
生粋の腐男子であるヒロシは、男女間の架空の恋愛物語にいつも幸せを見出していた。
しかし、現実の世界はコミックほどバラ色ではない。
「BLが好きで…まあ、ちょっと受けなだけなのに、どうして僕はいつもいじめられるんだ?」ヒロシは路上の小さな小石を蹴りながらぶつぶつ言った。
中学校から高校にかけて、ヒロシは同級生からよくからかわれてきた。
「この女々しい、受け!」BLコミックを読んでいるのを見ると、みんなそう言う。
ヒロシはそれに慣れてきたが、それでも胸は締め付けられる。
それでも、ヒロシはいつか、イケメン同士が恋に落ちる夢のような世界を見つけられると信じていた。
BLハーレムの世界――彼にとってまさに天国。
物思いにふけっていたヒロシは、交差点で立ち止まった。
突然、向こうから叫び声が聞こえた。
「危ない!車が猛スピードで走っている!」
ヒロシは振り返り、目を見開いた。
背が高く、ハンサムな高校生の制服姿の少年が、道路の真ん中に立っていた。トラックがこちらに向かってきていることに気づいていなかった。
ヒロシの心臓がドキッとした。
「この人…まるで俺の理想のセメキャラだ!」と彼は思った。
思わずヒロシは走り出した。
「どけ、バカ!死にたいのか!?」と叫び、少年を押しのけた。
無事、少年は生き延びた。
残念ながら、運命は別の計画を用意していた。
トラックはヒロシに激しくぶつかり、宙に舞い上がった。
「うわぁ…しまった、これが異世界って感じか?」と、半ば無意識に呟いた。
視界がぼやけ、慌てた様子でこちらを見つめるイケメンの顔がぼんやりと見えた。
「ああ…少なくともイケメンを助けて死んだ。満足だ…」と、心の中で思った。
暗闇。
静寂。
その時、まばゆい光がヒロシの体を包み込んだ。
「ようこそ、選ばれし魂よ。」柔らかな声が彼の周りに響いた。
ヒロシは目を開けた。
彼は、まるで異世界物語によくある転移空間のような、果てしない白い空間に立っていた。
目の前には、光の翼を持つ美しい少女が、白いローブをまとって立っていた。
「あなたは勇敢に、人の命を救いながら死んだ。だから、その報いとして、あなたを異世界へ送ろう。」女神は穏やかな微笑みで言った。
ひろしは驚愕した。「異世界?まさか…異世界!チート能力が手に入るんでしょ?」
女神はしばし目を閉じた。「もちろんよ。健康な体と特別な力を手に入れるのよ。」
ひろしは笑い声を震わせた。「これだ!ついに俺のBLハーレム世界が実現する!」
「女神様、もしよろしければ…イケメンだらけの世界に住まわせてもらえませんか?私、腐男子なんですが…」
38. 女神は驚きのあまり言葉を切り、かすかに微笑んだ。顔には汗が流れ落ちた。「もちろんよ…お前の運命にふさわしい世界が見つかるわ。」
「やったー!イケメンのセメメと可愛い受けが手に入るわ!」ひろしは飛び上がるほど喜びを感じた。
白い光が彼を包み込み、旅が始まった。
ひろしは美しく広々とした草原の真ん中で目を覚ました。
空は青く、鳥が飛び、遠くに小さな村が見えた。
「わあ、ここはまるでRPGの世界!夢にまで見た異世界だ!」
彼は立ち上がり、体が軽くなり、力強くなっていくのを感じた。
「よし、BLハーレムを作るためのイケメン探しだ!」と彼は興奮気味に言った。
ヒロシは勢いよく近くの村へと歩みを進めた。
しかし、門に着いた途端、視界が凍りついた。
村は…女の子でいっぱいだった。
男の子の姿は一人も見当たらなかった。年齢も職業も容姿も様々な女性ばかりだった。
「え?ちょっと待って…幻覚?」
若い女の子が目を大きく見開いて彼に挨拶した。
「え…あれ…男の人!?」と叫ぶと、村全体が振り返った。
たちまち、信じられないという様子で、女性たちが彼の周りに集まり始めた。
「あらまあ、本物の男だ!」
「絶滅したと思ってた!」
「早く村長に報告して!」
ひろしはさらに混乱した。「ちょっと待って!どうして私を珍獣みたいにするの!?」
大人の女性が厳粛な面持ちで近づいてきた。「お坊ちゃま…知ってる?男性は何百年も前に絶滅したのよ。」
ひろしは愕然とした。「え…何だって?!この世界は…女の子しかいないの??」
そしてその時、ひろしは悟った。「異世界BLハーレム」という期待は完全に打ち砕かれた。そこにあったのは、自分を受け入れてくれる女の子たちのハーレムだけだったのだ!
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