第7話 キンモクセイの香り

〜 キンモクセイの香り 〜

🌙✨



窓の外からはキンモクセイの香りがした。

今日いただいたどの料理にも負けないくらい、

私はこの瞬間を忘れないと思った。


彗ちゃんの指先から流れる音は、

月光と風に溶けて、花の香りとともに胸に沁みる。


二人の奏でる旋律はまるで、

夜空の下で星やキンモクセイの花をひとつずつ拾い集めるようで、

部屋の中に小さな音の光りの粒が流れた。


私は目を閉じ、深く息を吸い込む。

香り、音、風、月光――すべてが溶け合って、

時間が止まったかのような幸福に包まれる。


「ずっと、この夜のままでいられたら」

小さな声でつぶやくと、彗ちゃんがそっと微笑んだ。


端正なお顔立ちだ…。


窓の外のキンモクセイが、

静かに、けれど確かに、秋の魔法を告げていた。


最後の和音が静かに消えると、

彗ちゃんは小さく微笑んだ。

サラサラの髪、通った鼻筋、相変わらず涼やかな眼差し…。


私の心はもう幸せでいっぱいになった。


この静かな余韻を忘れない。



そして、秋の虫たちの奏でる音楽に代わった。


わたしには、今宵の月からのプレゼントに映った。


秋の日の忘れられない思い出の1ページになった…。







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詩人彗ちゃんの秋の夜会レシピ2〜彗ちゃんシリーズ3 める @Meru05

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