第6話 ドビュッシーの「月の光」2

〜 ドビュッシーの「月の光」2 〜



私たちの指先から生まれる音は

月光と風に溶けて、部屋の隅々まで届き、まるで夜空の満月まで届きそうだった。


今宵の満月に捧げよう…と、彗ちゃんがささやいた。


彗ちゃんの指が鍵盤をたたくたび、

まるで夜空の星がひとつひとつ輝くように、

ポロンポロンと音がふわりと舞い上がる。


私は低音のメロディーと伴奏を奏で

彗ちゃんは高音のえもいわれぬ美しいメロディーを引き継いだ、ポロポロ…ポロロン


二人の旋律が絡み合いながら

幻想的な光の波となる。


窓の外ではすすきがそよぎ、

森の影が月の光に揺れる。


音と光と風とがひとつになり、

私たちは夢の中を歩くように感じた。







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