滅亡ボタン

mackey_monkey

滅亡ボタン

世界のすべてが綺麗に無くなったら良い。

そんなふうに思ったことはないだろうか。


私は幾度となくある。


きっかけがあるわけでもなんでもない。

ただ、時々つらくなって、消してしまいたくなる。

それだけだ。


一人や二人では駄目だ。

百人でも千人でも、国でも大陸でも駄目だ。

世界のすべて、少なくとも人類が消せるのなら、それならば消してしまいたい。


そんなふうに思う。

でもそのたびにそんなことは無理だと言って、心のうちの不満をため込んだまま日々を送った。


そしたらいま、世界を滅ぼせるらしいボタンの前にいた。

なぜ押したら滅ぼせるのか、どう滅ぶのか。

何もわかりはしないが、このボタンを押せばとりあえず滅ぼせるらしい。

少なくとも私はそう確信していた。


そして悩んでいた。

押すべきか、押さないべきか。

別に人間や社会が嫌いなわけではない。

だから、普段であれば、あぁ、そうかといって押すことはない。


ただいまは少し、いつものようにつらい気分になって、魔が差しているだけだ。

そのせいで少し悩んでいる。


滅ぼしてしまいたいという感情とそんなことをすべきでないという感情が私の中で波のように押しては引いてを繰り返している。


そんな折にふと、滅ぼしてしまいたいという感情に私の心が振れて、ボタンに掛けた指に力を入れた。

しかし、ボタンは思ったより重く、それの作った時間でまた感情の波が引いていった。


何をやっているんだか。


そう思った私はボタンに背を向け歩き出す。

きっと、あとの私は後悔するだろうなと思いながら、振り返ることもなく歩みを進め、そのまま日常に戻った。

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