雨音とコーヒー

赤坂飛鳥

第1話

 待ち合わせ場所の駅に降りると雨が降っていた。どうりで今日は冷えるなと思った。バックパックからカーディガンを取り出して羽織る。僕はいつものくせで30分も早くついてしまった。スマートフォンを取り出してみても潰せる時間はせいぜい数分ですぐに手持ち無沙汰になった。カーディガンを着ていても今日はうっすらと冷えたままだ。

 彼女の姿が改札へと向かう人並みの中に見えて手を振る。気づいた彼女の顔が笑顔に変わり小走りにこちらへやってくる。

 いつも二人で歩きながら入るカフェを探すけれど今日は雨が降っていたので近くのカフェに行くことにした。情けないことに天気予報を見忘れていた僕は彼女の傘に入れてもらった。彼女のおろしたての白のモヘアのカーディガンが湿ってしまうことを申し訳なく思った。

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