第24話「出発の知らせ」
週明けの午後、ノアのメールボックスに一通のメッセージが届いた。件名は「Flight Confirmation」。
画面には、シアトル発・関西空港行きの航空券の詳細が並んでいた。指先が震える。日付は夏の終わり――あと二ヶ月もない。
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カフェテリアの報告
昼休み、ノアはスマホを手に仲間のテーブルに駆け寄った。
「決まった。飛行機、予約した!」
ジェイデンが声を上げて机を叩く。
「マジかよ! 本当に行くんだな、ノア!」
サラは少し驚いた表情で、でもすぐに微笑んだ。
「じゃあ、本格的に準備しないとね。翻訳アプリの使い方も練習しておいたほうがいいわよ」
カイは静かに頷き、短く言った。
「気をつけて行けよ。そして、必ず帰ってこい」
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母の眼差し
その夜、夕食後のリビング。母に航空券のメールを見せると、静かに画面を見つめたあと、優しく笑った。
「本当に行くのね」
ノアはうなずく。
「うん。行って、見てくる。曽祖父がどんな場所で生きてたのか」
母はしばらく黙った後、ゆっくりと息をついた。
「不安もあるでしょうけど……私たちの子だから、大丈夫。きっとちゃんと帰ってくるわね」
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父との会話
ガレージでは、父が古いスーツケースの鍵を調整していた。
「出発の日が決まった」
ノアが言うと、父は少しだけ手を止め、短く言った。
「そうか。……なら、覚えておけ」
「何を?」
「迷ったら、深呼吸しろ。息を止めると視野が狭くなる」
それだけ言って、再び手を動かした。
――その言葉は、どんな励ましよりも心に響いた。
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ノートのページ
部屋に戻り、ノートを開いた。
新しいページの一番上に大きく書き込む。
•Step Nineteen: Flight booked. Departure confirmed.
そして、ページの隅に小さく添える。
「帰る場所があるから、行ける」
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眠れぬ夜
その夜、ベッドに横になっても眠れなかった。
胸の奥で不安と期待がせめぎ合い、頭の中では関西空港の景色と兵庫の港町のイメージが交互に浮かぶ。
でも、最後に思い浮かんだのは――桔梗模様の風呂敷を抱えて船に乗る、若い日の曽祖父の姿だった。
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