第23話「旅立ちのリスト」
週末の午後、机の上にはノートとパソコン、そして「持ち物リスト」と書かれた紙が広がっていた。ノアは深呼吸をして、ペンを走らせる。
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パスポートの手続き
母に付き添われて市役所へ行き、パスポートの申請をした。写真撮影のとき、カメラマンに「笑わないで」と言われてぎこちない表情になったのを思い出し、帰り道で少し恥ずかしくなった。
母は歩きながら笑い、
「大事な書類なんだから真面目な顔でいいのよ」
と肩を軽く叩いた。
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荷造りのイメージ
帰宅後、ネットで「Japan travel packing list」と検索し、必要な物をひとつずつメモする。
•パスポート
•航空券の控え
•翻訳アプリを入れたスマホ
•ノートとペン
•桔梗模様の風呂敷(絶対に持っていく)
•曽祖父の写真
書き込んでいくうちに、胸の奥がじんわり熱くなる。旅が本当に近づいてきている実感が湧いてきた。
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仲間との会話
翌日の昼休み、カフェテリアでジェイデンが声を上げた。
「パスポート取ったんだって? すげぇな! 俺なんて州外にも行ったことないのに」
サラはスマホを見ながら、
「日本は湿気が多いから、服装も考えた方がいいわよ」
と真面目に助言をくれる。
カイは静かに、
「何か困ったら親父に連絡しろよ。翻訳くらいなら手伝えるから」
と短く言った。
その一言に、胸の奥が少し温かくなる。
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父の準備
夜、ガレージでは父が黙々と古いスーツケースを拭いていた。
「これ、使え」
差し出されたのは、父が若い頃に出張で使っていた革製のスーツケースだった。
「ありがとう」
ノアが素直に礼を言うと、父はそっけなく
「壊すなよ」
とだけ返した。その背中が、どこか誇らしげに見えた。
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ノートのページ
部屋に戻り、ノートを開く。
新しいページの一番上に書き込む。
•Step Eighteen: Get passport. Pack essentials.
そしてページの隅に、小さな文字でこう添えた。
「怖さもある。でも、進むしかない」
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夜の不安
ベッドに横たわると、静かな不安が胸の奥に広がった。
言葉の壁。知らない街。会ったことのない親戚たち。
でも、その不安の隙間に、確かな期待があった。
――きっと、あの港町で答えが待っている。
そう信じながら、目を閉じた。
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