第22話 「空席のチケット」
週末の夜、ノアは机の前でノートパソコンを開き、深呼吸した。画面には大きな検索窓と、見慣れない「航空券予約サイト」の文字。指先が少し震える。
――ここから、すべてが本当に動き始める。
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初めての検索
英語で「Seattle to Kansai Airport」と打ち込む。画面にはいくつもの航空会社と金額が表示された。
どの便も見たことのない空港の名前や時間ばかりで、頭の中が混乱する。成田、羽田、関西、伊丹……日本には空港がいくつもあるらしい。
「Kobeに近いのは……Kansai Airport?」
マリコさんからのメールを読み返すと、「関西空港から兵庫へアクセスできる」と書かれていたのを思い出す。
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仲間たちのサポート
翌日、カフェテリアでノアはスマホを広げて仲間に相談した。
「見ろよ、この画面。どれを選べばいいのか全然わからない」
ジェイデンは笑いながらスマホを覗き込み、
「とりあえず安いやつにしとけ!」
と無責任なことを言う。
サラは冷静に画面をスクロールしながら、
「到着時間と空港の場所を考えたほうがいいわ。関西空港が一番近いみたいよ」
とアドバイスをくれた。
カイは小さく頷きながら、
「親父に聞いてみる。関西空港から小野までは電車で行けるはずだ」
とメモを取ってくれた。
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母の笑顔
その夜、リビングで母に相談した。
「飛行機を予約しようと思うんだ」
母は少し驚いた顔をしたが、すぐに柔らかく笑った。
「そう……いよいよね。日付は決めたの?」
「夏の終わりくらいを考えてる」
「なら、今のうちにパスポートも確認しておきなさい」
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父の言葉
ガレージでトラクターを整備していた父に、ノアは小さく声をかけた。
「飛行機、探してる」
父は視線を上げずに答えた。
「安物を選ぶな。安全第一だ」
その声は淡々としていたが、どこか誇らしげだった。
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ノートのページ
夜、ノートを開いて書き込む。
•Step Seventeen: Book flight – Seattle to Kansai.
•Check passport and travel documents.
そしてページの隅に、小さな文字でこう書き添える。
「もう、戻れない」
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想像の翼
窓を開けると、夜風が吹き込んだ。遠い海の匂いを感じながら、ノアは目を閉じた。
――関西空港のロビー、知らない看板、そして兵庫の町。
まだ見ぬ景色が、心の奥で鮮やかに広がっていった。
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