第21話 「地図の上の指先」
翌日の放課後、ノアは図書館の隅の席に座り、ノートパソコンを開いた。机の上にはメモに書き写した住所――兵庫県の地名が書かれている。
Googleマップの検索窓に入力すると、ゆっくりと画面が日本列島にズームインしていく。青い海、複雑な海岸線、そして「Kobe」「Akashi」という名前が浮かび上がった。
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住所の発見
スクロールしていくと、小さな町の名前が現れた。
その町の細い路地をストリートビューで覗くと、古い神社と木造の家が並んでいる。
ノアの心臓が高鳴る。――このどこかに、曽祖父が暮らした家があったのかもしれない。
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カフェテリアでの共有
翌日の昼休み。ノアはスマホを手に仲間のテーブルに駆け寄った。
「見つけたんだ、ほら!」
ジェイデンが画面を覗き込み、目を丸くした。
「うわ、これがその町か? なんか……映画みたいだな」
サラは指で地図をズームしながら、冷静に分析する。
「ここ、海も近いみたいね。漁港もあるわ。もしかしたら、曽祖父さんは漁師として働いていたのかもしれない」
カイは腕を組んだまま、短く頷いた。
「俺の親父が昔聞いた話と一致するな。港の近くで“サトウ”って名前の家があったって言ってた」
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父との夜
その夜、ノアはガレージで父に報告した。
「……場所が分かった。小さな町だけど、確かに曽祖父の痕跡が残ってるみたいだ」
父は作業を止め、ゆっくりと振り返った。
「そうか」
そして少し間を置き、静かに言った。
「行くなら、準備をしろ。中途半端は許さん」
「うん」
その言葉に、ノアの胸の奥で何かが固まる音がした。
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ノートのページ
部屋に戻り、ノートを開く。
ページの上に書き込む。
•Step Sixteen: Confirmed address – plan the trip.
そして、ページの隅に小さく書き添える。
「もう地図の上だけの旅じゃない」
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遠い港の夢
その夜、夢を見た。
潮風の中で、木造の小さな家と赤い鳥居が並んでいる。
遠くから波の音が響き、桔梗の模様を染めた風呂敷が軒先で揺れていた。
その夢の中で、誰かが確かにノアの名前を呼んでいた。
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