10月4日 火曜日
新聞が届くようになってから、今日で3日目――無料体験の最終日だ。
しかし、ポストに新聞は投函されていなかった。
もう私は気が気でなかった。今日は一体、なにが起きるのだろうか。私が知らず知らずのうちに脅威に巻き込まれるなんて嫌だ。早く知りたくて仕方がない。
すると突然、ピンポーン、と、インターホンが鳴った。例のセールスマンだった。
*
「またお会いしましたね。新聞をお届けに参りました」
私は新聞をセールスマンから奪うように受け取り、記事に目を通し始めた。
「おやおや、そんなに焦る必要はないでしょう。それにしても……以前は新聞に興味は無さそうでしたが。どうやら、お役に立っているようですね?」
役に立っている? それどころの話ではない。
「そんなに気に入ってくださったのなら、セールスマンとしても嬉しいものですね。さてお客様、ご購読の方は……」
新聞に目を通していると、私の名前が書かれていた。明日の日付と、それから住所や年齢なども一緒に書かれている。その後には、私以外にもたくさんの名前が並んでいたが、その多くはなぜか、自分よりもずいぶん年上だった。
「あらら、ご購読の必要、なかったみたいですね。それでは、失礼いたします」
セールスマンが帰ったあとも、私はただ、呆然と立ち尽くすことしかできなかった。
(終わり)
加速新聞社 名雪まふゆ @NayukiMafuyu
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