加速新聞社
名雪まふゆ
10月1日 土曜日
「ですから! うちは要りませんったら!」
「そこをなんとか! 新聞を読むことは生活を豊かに――」
講義が早い時間に終わったので、自宅に帰ってきた。隣人がなにやら、セールスマンにしつこく勧誘をされているらしい。隙を見て玄関の扉を閉じ、振り切ったようだ。
――と、次の瞬間、様子を見ていた私は、そのセールスマンと目が合ってしまった。
「そこのあなた! 新聞を取りませんか?」
「い、いえ、結構です。ニュースなら、スマホとかで見れますし……」
「我が社の新聞は、どんなメディアよりも早く情報をお届けいたします!」
「そうは言っても、さすがにネットより早いってのは無理でしょう」
隙を見てドアを閉めようとした。
「でしたら!」ドアに足を引っ掛けてきた。
「でしたら、3日間だけ新聞をお届けします。もちろん、代金は頂きません。実際にお読みいただき、お客様が気に入られたら購読いただく。これなら、いかがでしょう」
「は、はあ、まあ、それなら……」
さっさと話を終わらせたかったので、3日くらいならと、受け入れることにした。
「では! 明日からお届けいたしますから! ぜひお読みくださいね!」
そう言い残して、セールスマンはあっさり帰ってしまった。名前も住所も
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