癌の告知を受けたなら
もちづき 裕
告知編
第1話 それは告知の瞬間だった
「今までクリニックさんでも検査をしていましたし、その結果、子宮体部癌は陰性、健康診断の結果、子宮頸癌も陰性。それは十分に理解しているのですが、私たちなりに重点的に検査を実施してみた結果、悪性腫瘍が発見されました」
令和七年七月七日のことでした。
「前回、採取した組織片を病理で調べて貰ったところ、G3、しかも転移をしやすい非常にハイリスクな癌であることが判明しました」
令和七年だし、ラッキーセブンだし、こんなに縁起の良い七夕の日であれば絶対に忘れなさそう。そんな縁起が良さそうな理由で、婚姻届を出すカップルが山ほど居たというあの日、あのとき、私は癌の告知を受けておりました。
急遽、主治医から病気の説明があるということで指定された日時に受診をしたところ、癌の告知ですか。本来、麻酔科医の説明がある枠で、急遽、お医者様の説明に切り替えますという電話を頂いた時点で、何かはあるとは思っていたけれど。
でも、普通、癌の告知ってご家族も同伴でとか言うじゃない?それがなかったから、
「多分違うのでは〜」
と、思っていたのだけれど、
「うちの病院では沢山の癌のオペをやっているという自負はあるのですが、もちづきさんの将来を考えたら、大学病院でオペをした方が良いでしょう。うちの病院は医科大学と共同で癌患者さんの治療を取り組んでおりますので、早急に受診ができるように予約を取っておきますね」
おお〜、大学病院への紹介状ってことはそれだけハイリスクな癌ということじゃないですか。
ちなみに冗談でも何でもなく、がんを告知された時に患者が思うこと、それは、
『ガーーーーーーン!』
ですよ。ガーンです。本当の本当にガーンっても思います。
当初、子宮に出来たポリープ(子宮筋腫化?)を摘出するために手術をする予定だった私なのですが、手術の予定はもちろんキャンセル。
「もちづきさん、大丈夫ですか?」
診察室を出た後にわざわざ看護師さんが声を掛けてくれたのですが、
「・・・大丈夫です〜!」
って言っちゃうんだよね。こういう時に人間って、大丈夫ではないですとは言えないみたいだわ。
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