『旧型のビデオカメラは致死量の世界を録画しやがて壊れた』
致死量の世界という表現が魅力的です。
ビデオカメラが単なる劣化や破損によって壊れたのではなく、世界を録画し続けることに耐えられなかったことが故障の要因になったということが、身体的問題よりも精神的問題のように感じられて、擬人化に片足だけ踏み入れたかのような絶妙すぎる機械と人間のラインが愛おしい。
旧型のという言葉に注目すると、同然ながら新型のビデオカメラでは表現できない哀愁が感じられる。
新型のビデオカメラではないが、現代で誰しもが持っているであろうスマートフォンにはビデオ撮影機能がついている。
このカメラ機能は目の前の景色を録画するどころか、脚色を施した上で記録するものもある。
そういった意味で、「致死量の世界を録画しやがて壊れた」という表現が「旧型のビデオカメラ」に紐づいたときの哀愁さと愛らしさからは心を動かすパワーを感じた。
素晴らしい作品をありがとうございました。