夏の思い出をギュッと凝縮した短歌集です。山に登り、虹を見上げ、海を眺め、夏を満喫しているのが、よく伝わってきます。1首1首は、やや抽象的なのですが、それは作者の心の奥の寂しさからくるものなのでしょう。しかし、それよりも、平易な言葉で詩的世界を構築しようとする直向きさに、こころ打たれるのでした。深緑 掻き分け掻き分け 辿り着く ここは小さな 異国の地5首目のこの歌は、種田山頭火「分け入っても分け入っても青い山」の本歌取りでしょう。見事な秀歌です。